事例紹介:クラリオン株式会社様

赴任前の知識とスキルが、成功の鍵!~海外赴任前研修で赴任者のパフォーマンスを向上

曹さん_クラリオン皆さんの会社では、海外赴任を予定されている方にはどのようなトレーニングを行なっているでしょうか?

クラリオン株式会社技術開発本部技術開発推進部マネジメント改革推進グループで、グローバル人材育成研修を担当されている曹玉鳴さんに、今年から国内外で導入した赴任者向け研修についてお伺いしました。 

「赴任する前にもっと研修を受けていれば」

約900名のスタッフを擁する技術開発本部でグローバル人材の育成を一手に担っている曹さんがPFCと共に赴任前研修の実施に取り組み始めたのは、海外拠点の強化に伴うグローバルリーダー人材育成の取り組みとして、中長期的な視点で人と組織のグローバル化を図る風土改革を検討していた時でした。実は、曹さんは、中国から戻った日本人赴任者のみなさんから『赴任する前にもっと研修を受ける機会があれば、あんなにショックを受けずにすんだのに』といった声を何回も耳にしてきたこともあって、長年にわたって、海外赴任者向けの事前研修を探されていたそうです。

「手みやげは全員あてでなく、個人個人に」「駅やバス停で配られている道案内の地図は有料」といったノウハウ的なことはもちろんですが、「心構え」といったことも、あるとないとで、その後の成果が全く違います。」と曹さんは言います。

実際、生活の知恵や国の風習といった情報は検索したり本を読んだりすれば得られます。しかし、一番の本質は、駐在員として現地の人と協力しながら成果を出していくにあたっての心構えとスキルセットなのです。中国を例に、曹さんは「日本人同士なら1だけ言えば、10が通じますが、中国人が相手の場合は、10を言う必要があります。多くの中国人は、ここをやってください、と言われた部分しかやりません。それに対して日本人は『なんでこのアウトプット?速いけどクオリティが低い』『ふつうはこういう風にやるよね』という反応になり、ギャップが生じてしまうのです。大切なことは『日本人の考え方がふつう』という考えを捨てることです。中国人スタッフには、何をどこまでやってほしい、ということをより明確に伝える必要があるのです。こういったことを事前に知っているかどうかで、現地での仕事がスムーズにスタートできるかどうかが決まって来ます」と説明してくれました。

元々、クラリオンではPFCに「グローバルリーダーシップ研修」や「グローバルプレゼンテーション研修」等を委託していましたが、その中で曹さんはPFCと問題意識が合致していることに気付かれました。
「異文化対応や、ケーススタディを使いながらの体系的な学び、そして海外経験が豊富なPFC の安田太郎さんのお話をきいて意気投合。まずは自分自身が、公開講座形式で行なわれていた海外赴任前研修を受講してみようと思いました(曹さん)」

赴任後の感情の変化を事前に疑似体験する

クラリオン1PFCの海外赴任前研修公開講座では、特定の国に関する知識を供与するのではなく、より普遍的なマインドセットとスキルについて学びます。
実際に研修に参加してみて、曹さんが最も印象にのこったのが右図のモデル。

現地文化に適応するまでのプロセスを6つに分解しています。
・初期の楽しい期間
・最初のカルチャーショック
・表面上の調和
・落ち込みと孤立
・補正/再統一
・自立と独立

最後の『自立と独立』の段階にたどりつくまで、赴任者は図のようなアップダウンを経ることが多いわけですが、研修では各段階それぞれの適切な処方箋と対応をお伝えしています。たとえば、『最初のカルチャーショック』は異文化の知識やストレスマネジメントで対処すること、そして、『落ち込みと孤立』を乗り切るためには、自身のゴールや付加価値を再確認する、といったことです。あるいは信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキルを身につけるなど、それぞれの段階に応じて必要なことをご紹介していきます。大連出身で2003年に日本に留学し、その後クラリオンで働きはじめた曹さんも、このモデルで自身を振り返り、思い当たることが多くあったそうです。
「自分自身が外国人として日本で働き始めたころ、自分の気持ちがこの図と同じようなカーブをたどったことがはっきりと思い出されました。6つの段階の違いもわかりやすかった。公開講座の中で教わった対処方法を、あの頃の自分に教えてあげたいと思いました(曹さん)」

海外赴任後を疑似体験

このモデルを実際に疑似体験できる4つのケーススタディも、採用の一つの決め手となったそうです。

本社から毎日のように状況説明を求められる赴任者、高橋氏。現地担当者をつかまえて状況を聞いても「大丈夫、大丈夫」と笑顔で答えるばかり。しかし、実際には事業の全体像がなかなか見えず、進捗も遅れているのは明らかだ。そこで現地担当者にしつこく聞いて、本社向けに工程表を作成するよう頼むと、「大丈夫だと言ってるだろう。いったい高橋さんはどちらの味方なんだ?」とへそを曲げてしまった。そんな中、本社の上司がクライアントと共に視察にやってくることになった….

このようなケースを読み解きながら、実際に赴任した際の自身のあり方や対応を考えて行きます。
「現地で思い通りに行かない様々な状況の中で、気持ちが下がって、こんなはずじゃなかった!という孤独感に陥ることは必ずあります。しかし、赴任者の気持ちがこのように変化すること、誰もが通る道であることをあらかじめわかっているのといないのとでは、自分のとらえかたも、対応も全く異なってくると思います。このモデルの知識やケースによる疑似体験があれば、それぞれの段階で必要な対応を自ら考えることができるようになると思います。」
「ケース全体を通じて、何よりも『何のためにその国に行くのかという大目標、自分の軸をちゃんともっておくことの重要性』について気づきを得ることができるプログラムだと思いました(曹さん)」。

異文化の中での自身の立ち位置を確認できるウェブツールによる学習

上述のような考え方やスキルセットは国を問わず普遍的なものですが、一方で、自分が赴任する国特有の事情についても考察するセッションもありました。それは、ウェブツールの「グローブスマート」を使用したセッションです。グローブスマートは、100ヵ国それぞれに関する文化的特徴やビジネスを行う上での留意点がデータベース化されていて、簡単なアセスメントにより受講者が自分自身と赴任先の国との考え方や行動様式の違いをその場で把握することができます。
そして研修中には、なぜ自分がそのような傾向をもつのか、差異のある文化の中で仕事をする場合にどのような点に気をつけ、振る舞うべきかなども考えて行きます。

他の参加者からも「自分の考え方が非常に日本人的であり、一般的な中国人とどんなギャップがあり、どう対応すればよいかがよくわかった。赴任するときは日本人としての自分は置いて行こうと思った」といった感想が聞かれました。

社内に赴任前研修を導入

公開講座に参加して確かな手応えを得た曹さんは、さっそく社内で同様のプログラムを実施することをPFCに依頼。これはさらに中国国内にも広まり、8月には厦門(アモイ)でPFCの安田太郎が赴任者10数名を集めた赴任者研修を提供させて頂きました。廈門の研修では更に内容をカスタマイズし、赴任者自身のセルフマネジメントや中国人部下のマネジメント、組織マネジメントなどについて具体的な事例も使いながら理解を深めて行きます。また、研修後の個別コーチングも特徴のひとつで、研修で学んだことを実践により深く結びつけるためのフォローアップも行なわれます。

「日本本社のスタッフが海外拠点とやりとりする際に、異文化理解が欠けていることで、うまくいっていない例を目にします。『○○人だから』とステレオタイプだけで考えることは良くないですが、『日本人の考え方は世界にもっていくと違う』ということを知っていると知らないとでは仕事のスムーズさが違います。例えば、日本人はハイコンテクストなので『ダメ』とかはっきり言いませんが、それだと、何が良くないかがわからないままです。ローコンテクストにはっきり言った方が話がスムーズに進みますよね」
「みんな笑顔でワイワイ仕事をするような職場、ケンカではない議論ができる職場を作りたい」という曹さん。そのためには、お互いのバックグラウンドを理解し合い、認め合いながら、ひとりひとりを尊重したコミュニケーションがとれるようにしたいという言葉に深くうなずかされました。

公開講座や様々な企業で海外赴任前研修を担当することの多い、安田太郎(PFCシニア・コンサルタント/PFC China代表)からは、「海外に赴任が決まると、業務の引継ぎや引越しの準備、健康診断やビザの申請等でとても忙しく、じっくり考える時間をとることが難しいのが現状だと思います。その限られた時間の中でも、ぜひ自分自身のミッション、ビジョンを自分の言葉で語る状態を作っていただきたいと思います。海外に赴任すると、現地法人のメンバーから一挙手一投足を見られます。どんな人間なのか、何に秀でているのか、一緒に何を成し遂げようとしているのか。これらの質問に自分の言葉で応えられるように準備をされることをお勧めします。事実、事前にミッション、ビジョンを明文化した赴任者と、そうでない赴任者では、海外での成果に大きな差が出てきています」と語りました。

海外赴任前研修は、ほぼ隔月で東京にて開催されています。赴任先は限定しない内容になっていますが、少人数での実施ですので、具体的な質問等にもできる限り対応しています。赴任を目前に控えた社員の皆様の研修として、ぜひご活用ください。

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