事例紹介:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ様

-徹底したディスカッションで管理者研修を毎年手作り

平成21年度から「組織のビジョンを描く」「われわれのグローバル化を考える」「一体感を醸成する」と毎年違ったテーマでユニークな管理者研修をゼロから作り上げている株式会社 NTTデータのライフサポート事業本部。プロジェクトに関わっている企画部の谷口徹部長を中心に、岩田崇課長代理、シニアエキスパートの山原敦志氏にお話を伺いました。

NTTDAT

 

 

 

※写真は前列左から谷口徹氏、岩田崇氏、後列左から上田雅子氏、山原敦志氏

現在の取り組みのきっかけを教えていただけますか。
きっかけは、平成20年に行なった社員満足度調査です。当時の我々は中央官庁様を主なお客様とする第二公共システム事業本部として、売上も利益も社内トップクラスでした。しかし、満足度調査では下から2番目という結果が出たんです。このような状況ですと組織としては長続きしない。優秀な社員も社内公募などで他の組織へ流出している状況でしたので、本格的に手を打たねばならなくなりました。この年は、PFCさんに職場のコミュニケーションを考える施策の一環として、課長代理研修を依頼しました。
それがきっかけとなって、毎年の管理者合宿につながっていったのですね。
はい。その課長代理研修に講師としていらしたのが現在の代表の松村さんです。話の内容も、ファシリテーションも素晴らしい。この人ともっと仕事がしたい。そう思い、翌年度の施策について相談を始めました。この年の目的も社員満足度をあげることで、色々と話し合った末に、全管理者を集めて合宿をして皆でビジョンを作ろうということになりました。
ビジョンというと、一般的にはキーワードや文章で表現することが多いように思いますが、この合宿では、まずは組織の将来像を徹底的に議論し、その内容をいろいろな表現方法で分かりやすく伝えるという提案を頂き、ビジョンが実現した様子を「アート」や「演劇」で表現することになりました。これが、大変盛り上がりました。
管理者研修は21年度は「組織のビジョンを描く」、22年度は「われわれのグローバル化を考える」、23年度は「一体感を醸成する」をテーマに続いてきた訳ですが、毎年違う内容で行っているのですよね。プログラムはどのように決まっていくのですか?

グローバルをテーマにして取り組んだ例でお話しましょう。グローバル化については全社的なテーマで、「グローバルトップ5を目指す」であるとか、「世界中に拠点を持とう」とか、「海外企業のM&A」であるとか、様々な取り組みが始まっていました。しかし、当時の我々は公共事業を担っており、お客様は中央官庁等がメインで、海外のお客様はほぼいない。そういう意味で、われわれは全社的なグローバルの取り組みに対して「いずれそうなるだろうが、自分たちはまだ先の話だな」という目で見ていました。しかし同時に「変わらなければ」という問題意識だけは持っている。そんな焦燥感と閉塞感がある状況で、PFCさんに相談をもちかけました。「第二公共システム事業本部らしいグローバル化って何だろう」ということをとことん話し合い、その中から出てきたのがGIAリーダーというキーワードでした。

グローバル・イノベーティブ・オーセンティックの頭文字をとった、PFCが提唱している21世紀のリーダー像ですね。
そうです。この考えを盛り込んだプログラムを最終的に松村さんが提案にまとめてくれました。GIAリーダーとは、ビジネスを通じて、社会的課題解決をグローバルに革新的に取り組むことを、自分自身の使命とするリーダーと伺いました。これはNTTデータのDNAにあるものだし、第二公共システム事業本部は日本という国家レベルでそれを実現しているから、グローバルにチャレンジしていく際にもこのコンセプトが一番合うんじゃないかということで、これでいく事にしました。 合宿はまず、われわれの事業本部では馴染みの少ない「企業のグローバル化の現状」を理解するところからはじまり、グローバルな組織運営について皆で考え抜いていきます。最後には、ひとりひとりが「グローバルリーダー宣言」として、自らの熱い思いを言葉にしました。
単なる「グローバル研修」ではなく、研修全体を通してソーシャルという観点も取り入れた事で、それぞれの「グローバルリーダー宣言」は第二公共システム事業本部の社員の誰が聞いても共感できる内容になりました。結果的に、われわれの事業本部に非常にフィットしたプログラムが出来上がったことを実感しました。
23年度のテーマは「一体感の醸成」でしたね。
平成23年の7月に組織改編があって、第二公共システム事業本部と別の組織が統合され、ライフサポート事業本部になりました。この改編で「保険」をキーワードに社会保険・医療保険・民間保険・労働保険の4つのシステムを担う別々の事業部がひとつになりました。これは、それまでお客様の企業や省庁単位で組織を作っていたNTTデータにとって初めての取り組みでした。しかし、保険の先にいるエンドユーザーである国民から見れば、いろいろな保険を扱っているところが一元化されるのはメリットがあり、情報共有する中から新しいサービスが生まれるだろうといった狙いがあってのことでした。
新しい事業本部は、生い立ちもお客さんもまったく違う事業部が集まって出来た組織なので、「どうすればいい?何をすればいい?」という状況でしたが、そこでまたPFCさんと相談です。せっかく皆が集まったのだから、皆で共通の未来のイメージを描いて、事業部間でどんなシナジーを発揮できるかということを考え抜いてもらおうという観点から、次のようなプログラムを行ないました。 まずは、未来の国民の悩みを予測するところからはじまります。その悩みを解決するために、4つの事業部が自分たちの強みを出し合います。そこに生まれるのがシナジーです。さらに、そのシナジーを発揮しながら、国民のためにわれわれが実現したい「豊かな社会」について、皆で考えていきます。
プログラムをやってみてどうでしたか?
300人いる管理者を5回にわけて一泊二日でワークショップを行ないましたが、活発な議論を経て、「エンドユーザーのお客様にたどり着くと、自分たちは皆一つなんだ」という実感をもてたのが大きな収穫でした。ワークショップが始まる前は4分の3ぐらいは知らない人同士だったのに、終わってみれば「なんだ同じような仕事をしている同じような人間じゃないか」という感覚を皆が持てた事もよかったです。
弊社は事業部制をとっていますが、実はそれまでは事業部の間には見えない壁があったんです。誰が人を出すのか、金を出すのかという話になると同じ本部なのにお互いによそよそしくなる。でもこの合宿を経て、一緒に協力していかないとエンドユーザーのお客様のためにならないということ、そしてこれからは一緒にやっていけそうだということを多くの人が実感できた事が大きいと思います。これは非常に明快な成果ですね。
この合宿とは別に、よりリアルなビジネスを検討するシナジーワーキングの場が持たれているんですが、そこにも様々な事業部からメンバーが集まった時に、「あの時はどうも」なんて話をして、スムーズに議論に入れています。
今年のテーマは「ノウハウの共有」ですね。
昨年は「お互いを知りましょう。考えている未来って一緒だよね」という意識合わせ、つまりビジョンの共有が主たるテーマでした。今年は状況はさらに進んでいるので、具体的なシナジーを発揮するために、ナレッジやノウハウの共有をテーマにします。ただ、これも最初はずいぶん悩みました。ナレッジマネジメント自体、10年ぐらい前にブームになって弊社でも色々な取り組みをしましたが、他社も含め成功しているところは少ない。それに再び取り組むのはなぜかというところから、またPFCさんに手伝ってもらい議論を深めていきました。結果としては、「情報共有がひとつの要因となって赤字事業の建て直しに大成功した実例を見つけてきてくれて、そこでの具体的な情報共有のやり方や考え方、何がポイントかといった点を一つ一つ解説してくれました。これをきっかけに我々の懸念も消え去り、シナジーを発揮するためには、やっぱりノウハウの共有だ」と思えるようになったのです。今年の取り組みは、ナレッジやノウハウは共有し、マネジメントすることが可能なんだという認識を多くの人が持てるようにすることを狙っています。そのために、受講者は自分のノウハウを棚卸ししてみたり、それに親近感の湧く名前を付けてみたりしてもらいます。最後には皆でそのノウハウを使いながら経営課題の解決に取り組む、ということを考えています。
御社では、当初から、ワークショップのファシリテーションをPFCと分担して行われていますが何故でしょうか?また、どのように分担を?
谷口氏:われわれが表に立つ事で、受講者に対して本気度が伝わる事に一番大きな意味があります。また、毎年、管理者をいくつかのグループにわけて、数回の研修を実施するので、都度見直し、バージョンアップをするのですが、それをするためには、自分たちがワークショップの場に入り込んでいる事が重要となります。受講者がどこでどんな反応をしたとか、どこまで理解しているとかは横から見ていてもよくわからない。自分たちがファシリテーターをして、その場のオーナーになることで、受講者の反応をよりリアルにひしひしと感じる事ができて、プログラムの見直しにダイレクトにつなげる事ができます。もちろん、ファシリテーターを行う自分たち自身も大きく成長できますから、なるべくたくさんのスタッフに経験してもらいたいと思っています。
プロとどう分担するのが良いかという点については、どちらがしゃべったほうが受講者がより素直に話を聞けるかという観点から考えています。たとえば、理論的なことや他社事例などは外部の方のほうが素直に話を聞いてくれる。一昨年、「ソーシャル」という観点を取り込んだときも、「公共事業」に取り組んでいるわれわれには既に空気のような存在になっている「ソーシャル」という存在に対して、PFCの方から「御社はソーシャルというすごい強みをすでに持っている」と言われる事で、あらためてやる気が出るということがありました。研修後のアンケートで、印象に残った言葉としてPFC の講師の言葉が多数上がることでも、外部の方の言葉を効果的に入れ込むメリットを感じます。ですので、議論の前提となる問題提起やインプット情報はPFCさんから投げかけてもらい、議論そのものを進める際のファシリテーターはわれわれがやることで、研修の流れにメリハリがつき、その場の一体感が高まり、議論が盛り上がる効果があると思います。
岩田氏:私自身は、昨年、5回の管理者研修のうち4・5回目でファシリテーターをしました。受講者が上の方ばかりなので最初は遠慮するところがあったんですが、だんだんと、受講者の「せっかく来たのだからこの研修から何かを学んで帰ろう」という思いが伝わってきて、気遣いや遠慮は不要だと気づきました。この場を上手く仕切ろうなんて背伸びはせず、「皆さんで考えて下さいね」と開き直ったら、どんどん受講者の皆さんの議論が進んで行く。ゴールがはっきり示せないようなお題でも、考えや狙いを伝えれば、皆で汲み取ってくれました。
グラフィック・ファシリテーションやオープンスペーステクノロジーなど新しい手法もどんどん取り入れていらっしゃいますね。新しいものをとりいれるのは難しくないですか?
谷口氏:「学園祭文化」と呼んでいるんですが、私たちの間には、同じ事をやっていたらつまらないという文化があるんです。同じ事をやると怒られる(笑)。研修の中身も必ず毎回変えていますし、そうしないと良いものができない。自分自身も成長できないですし。同じ製品を大量生産するのではなく、常に「一品モノ」のシステムを作る会社なので、新しいチャレンジに前向きなのかもしれません。一方で、そういうわれわれのチャレンジをすぐ受け入れてくれるPFCさんの自由度の高さにも感謝しています。
御社の「一品モノ」を作るという文化は、PFCが組織開発という視点からクライアントに合わせた研修を作り込んでいく姿勢と似通っていますね。PFCとのディスカッションはどうですか?
谷口氏:毎年新しいプログラムを考えていますが、ディスカッションをはじめる時点ではわれわれ自身のニーズは言葉になっていなくて、外部の方たちに「こういう研修を作りたい」と語れる状況にはないんです。だから「こういう問題がある、こういうことで困っている」と漠然と伝える。すると、PFCさんと議論する中で、われわれも気づけていなかったニーズが明らかになっていって、だんだんと真のニーズ、施策の落としどころが見えてくるんです。すると、PFCさんはそれにきっちりと合わせた提案を持ってきてくれる。PFCさんのクライアントは、このプロセスをぜひ体験すべきです。PFCの魅力を引き出す為には、この禅問答をしないといけません。こちらがニーズを伝えて、既にあるメニューを出してもらうことで解決する場合もありますが、PFC さんには、複数のオーダーを出してもそれに合わせてプログラムを作ってくれるという自由度の高さがあって、それはコンサルティング会社だからこそ出来る事だと思います。そして何よりもクライアントの為に最後の1秒まで品質を高めようという努力が素晴らしい。だから安心してつきあえるんです。
山原氏:PFCさんが他の研修会社と違うのはこちらの意見に良い意味で「ダメ出し」をしてくれるところだと思います。われわれが考え抜いて出したものをばっさり切り捨てるみたいなときもあったし、ゴールが見えかけたかなというときも「本当にこれで正しいだろうか」という問いを投げかけて本質に気づかせてくれたり。
自社の持っているプログラムを基点にして考えるのではなく、われわれの目的を基点にして考えてくれるのが素晴らしいところです。