コラム

2025.11.28(金) コラム

GCNJシンポジウムで語られた「今求められるリーダーシップ」

こんにちは、サステナビリティ事業推進室の千葉達也です。
2025年11月6日(木)、国連大学本部にて「GCNJ年次シンポジウム2025~VUCA時代のリーダーシップと未来へ繋ぐサステナビリティ経営~」が開催され、株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング(以下PFC)も加入企業として参加をしました。
基調講演では、ハーバード・ビジネス・スクールや一橋大学で教鞭をとり、経営戦略の第一人者として知られる竹内弘高氏が「今求められるリーダーシップとグローバル人材」について講演されました。本稿では、その要点を紹介します。

VUCA時代に必要な3つのリーダーシップ

竹内氏は冒頭、「予測困難なVUCA時代において求められるリーダーシップは、Agility(機敏さ)・Speed(スピード)・Creativity(創造性)の3つだ」と明確に示しました。以下では、特に印象的だったポイントをまとめます。

Agility(機敏さ)

竹内氏は「これまで日本企業が得意としてきたPDCA(計画 → 評価重視)型から、pDcA(実行 → 改善重視)型への転換が必要だ」と強調しました。
日本では“失われた30年”の要因として
• Over-planning(計画過剰)
• Over-analysis(分析過剰)
• Over-compliance(統制過剰)
の3つが指摘され、結果として従業員が「指示待ち・工夫しない」状態に陥ってしまったと言います。
これは、過去の成功体験に固執した過剰適応(Over-adaption)の副作用とも言えるものです。
しかしVUCA時代に必要なのは、多くの挑戦と失敗を高速で繰り返しながら学習を続ける姿勢。リーダー自身がまずそのマインドセットの転換を主導する重要性が語られました。

Speed(スピード)

「スピードの重要性」は日常業務でも多くの人が実感しているポイントだと思いますが、竹内氏は象徴的な事例として、モデルナがCOVID-19ワクチンをわずか42日で設計し、臨床準備に至ったという話を紹介しました。
なぜそれが可能だったのか。その鍵はプロセスの大胆なデジタル化(DX)にあります。
製薬業界で長らくアナログだった工程をデジタル化し、mRNAという開発プラットフォームを構築したことで、AI活用が可能となりスピードが桁違いに向上しました。
一方、日本のDXは既存プロセスをそのままデジタル化する「表層的な取り組み」にとどまることが多い点を指摘し、プロセスそのものを作り変える視点が必要だと強調されました。

Creativity(創造性)

竹内氏が最も強調したのは「VUCA時代の戦略とは、未来をつくることである」という点でした。未来をどうつくるのか。そのヒントとして引用されたのが、作家ウィリアム・ギブスンの言葉です。

“Live in the future, then build what’s missing”

「まず未来に住んでみて、そこに欠けているものをつくり出せ」
企業が描く未来像はそれぞれ異なります。そのため、パーパスが違えば戦略も自然と異なる。
したがって、リーダーには現在の延長線上で戦略をつくるのではなく、まず創造的に未来を思い描く力が不可欠であると語られました。


今回の講演内容は、多くの日本企業が直面している課題とも深く重なります。
予測不能な環境で意思決定が遅れがちな現場、変化への挑戦よりも正確性を優先する文化、そして未来を描く余白が不足している組織構造――竹内氏が指摘したポイントは、まさに今の企業が抱えるリアルなテーマだと感じました。

PFCでは、こうした課題に向き合うために、パーパス浸透、CSVリーダー育成、変革推進の支援を提供してきました。企業の志と個人の志を重ね合わせ、未来を共創していくアプローチは、竹内氏の指摘するCreativityの重要性とも強く響き合います。


千葉 達也(ちば たつや)
株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング 
サステナビリティ事業推進室長