コラム
2026.01.28(水) コラム
■【記事】一般社員向け研修、なぜ「効かない」まま終わるのか
一般社員向け研修の現場で見えてきた「6 つのつまずき」
一般社員向け研修について、こんな声を耳にします。
「課題にフィットする研修をどうさがしたり設計すればいいのか」
「既存の研修はあるが、現場の課題に合っているのかわからない」
「現場からの要望が多様すぎて、どこから手をつければいいか決めきれない」
では、どうしたらより現場の課題に近いプログラムを実施することができるのでしょう
か。
昨年、複数の企業で一般社員向け研修を実施する中で、共通して浮かび上がった課
題は次の 6 つでした。
1. 主体性の低さ:言われたことはやるが、自分から動くことには慎重。失敗回避の
文化や視野の狭さが影響している。
2. オーナーシップの欠如:自分の仕事として捉えきれず、やらされ感が行動のブレ
ーキになる。
3. 変化への柔軟性不足:前提が変わると立ち止まってしまう。仮説を立てて動く経
験が乏しい。
4. 戦略的コミュニケーションの未熟さ:チャットやメールはできても、目的を持った対
話や巻き込みが弱い。
5. 他者への関わりの弱さ:後輩支援やチーム貢献が「自分の役割」として意識され
にくい。
6. キャリアの自律性不足:「自分はどう働きたいか」を考える機会が少なく、受け身
になりやすい。
これら6つのつまずきは、多くの現場で「研修が効かない」と感じられる背景として、複合的に絡み合って現れています。
これらは組織文化や育成の設計と結びついて起きていることでもあり、すべてを研修だけで解決できるわけではありません。ただ、行動の判断軸や共通言語を揃えるという点では、スキル研修が有効に機能する場面も多くあります。
正解を与えるのではなく、「考えるための軸」を育てる
こうしたつまずきに対して大切なのは、業務の正解や具体的な手順を教えることではありません。
状況が変わったときに「どう考え、どう判断するか」という、仕事に向き合う本人のあり方や思考の道筋を身につけることです。
主体性の低さやオーナーシップの欠如が課題に挙がっていた大手メーカーでは、「オーナーシップを発揮する」の定義が不明確で、リーダーが期待している行動レベルと、本人が取っている行動の間にギャップが生じていました。このケースの場合は、主体性を「考える・発信する・協働する」といった行動に分解し、上司と部下の間で生じやすい期待値のギャップを、職場の具体的な行動事例に引きつけて各自に考察してもらうなどのワークを行いました。
また別のクライアント様の研修では、日々の業務を「何を目指しているのか」「どんな価値を生みたいのか」という目的から捉え直し、そこからプロセスを組み立てるワーク(プロジェクトチャーター作成)を行いました。答えを提示するのではなく、目的→判断→行動という思考の流れを自分で描けるようにする設計です。
また、「変化への柔軟性不足」という課題への対処プログラムとしては、グループごとに一つの課題に取り組む実践型のワークを、ゲーム要素を取り入れて設計しました。途中で条件変更や追加制約などの「変化」が入る中で、優先順位の組み替え、役割分担、意思決定のスピード、周囲との調整が自然に問われます。
ほかにも、3 年目社員が 1 年目を支援する場面を題材にしたプログラムも導入し、単なる教え方ではなく、信頼関係の築き方や支援のスタンスを扱ったりもしました。
これらはいずれも、受講者が状況に応じて考え、判断するための視点を共有することを念頭においています。
なぜ一般社員向け研修は難しいのか
一般社員向け研修が難しい理由のひとつは「この層に何を期待しているのか」が言語化されにくい点にあります。
役割期待が曖昧なままでは、研修の目的も曖昧になり、「実施すること」が目的化しがちです。
また、一般社員層の課題は、特定のスキルだけを切り出して解決できるものではありません。仕事の任せ方、評価のされ方、職場のコミュニケーション文化などと絡み合っています。
6つのつまずきを研修設計に落とす際には、最初に次の 3 つのどこを狙うのかを整理すると、設計が考えやすくなります。みなさんの会社で優先度が高いのはどれでしょうか?
① マインド系(主体性・オーナーシップ)
受講者が仕事を「自分ごと」として意味づけ直せるか。フォロワーシップや意思
決定のスタンスなど、行動の土台を整えます。
② 行動系(職場実践に直結するアクション)
研修で終わらせず、職場で何を変えるかまで決める。たとえば「職場改善アクシ
ョンプラン」を作り、上司やチームと共有する設計にします。
③ 後輩指導系(次世代育成の担い手化)
若手・中堅が「教える側」に回るタイミングで必要になるのは、話し方の技術だけ
ではありません。関係構築、信頼形成、支援の仕方まで含めて扱います。
一般社員向け研修は、役割期待が明確でないからこそ、設計が難しい領域です。だからこそ必要なのは、現場の課題から逆算した目的設定と、実務に直結する設計です。 組織の意図に沿った変化をどう起こすか。その問いに向き合うことが、一般社員向け研修を“戦略”に変える第一歩になります。
まずは、いま起きているつまずきが 6 つのどこに強く出ているのかを整理し、対象層ごとに役割期待を言語化します。その上で、3 時間・半日・1 日など制約条件の中で、持ち帰り(行動の変化)を具体化し、職場に戻った後の実践導線(共有相手・期限・フォロー方法)まで含めて設計することが欠かせません。
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