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2026.01.30(金) お知らせ

■【記事】eラーニングだけに頼っていませんか?一般社員の主体性を育てる研修設計とは

はじめに:eラーニングで学べるのに、なぜ研修の相談が増えているのか 

いま、多くの企業では基本的な知識やスキルは eラーニングで十分に学べるようになっています。コンプライアンスやビジネスマナーのみならず、論理思考やコミュニケーションスキルまで、オンライン教材は充実しており、学ぶ手段には困らない時代になりました。 

それにもかかわらず、人材育成の担当者の方からは次のような相談が増えています。 

  • 主体性をもっと発揮してほしい 
  • 変化に対して柔軟に動けるようになってほしい 
  • 周囲を巻き込むコミュニケーションが弱い 
  • 後輩指導がうまくできない 
  • キャリアを自分で考えられず受け身になりがち 

どれも「いま急に生まれた新しい課題」ではありません。 
ただ、この数年で、こうした課題がより表面化しやすくなっているのは確かです。 

それは、働く環境や価値観が大きく変化している中で、個人学習だけでは変化が起きづらいテーマが増えているからです。 

1. 最近よく相談される5つのテーマ 

研修を相談いただくクライアントの皆様の声を整理すると、次の5つがキーワードです。 

① 主体性 
指示されたことはきちんと取り組むものの、「さらに一歩」を踏み出す行動が生まれにくい。本人は「やっているつもり」、上司からは「自ら考えて動いてほしい」と、両者の認識にギャップがある。 

② 変化対応 
仕事の前提が変わると判断が止まったり、慎重になりすぎて動けなくなる。若手の多くは変化の激しい環境にいるものの、“仮説を持って動く経験学習”が少ないため、不安のまま何をしていいかわからない。 

③ 戦略的コミュニケーション 
チャットのコミュニケーションに長けている反面、目的をもって、顧客や上司、周囲を巻き込みながら物事をすすめるためのコミュニケーションの術を持たない。「報告はできるけれど、調整は苦手」という声が多い。 

④ 後輩指導 
早い段階で後輩を指導する立場が回ってくるものの、関係づくりや教え方の基本を学ぶ機会が少なく、「どこから伝えればいいか分からない」。 

⑤ キャリア自律 
選択肢が広がる一方で、「どう働きたいか」を言語化する機会が少なく、結果として受け身になってしまう。キャリアを考えることが“特別な時間”に追いやられがち。 

2. これらの課題は新しいものではない。でも、いま改めて難しくなっている理由がある 

主体性・変化対応・コミュニケーション・後輩指導・キャリア自律――どれも昔から言われてきたテーマです。それでも、ご相談が増えている背景に、次のような環境変化があります。 

● 若手が育つ環境が大きく変わっている 

  • 仕事の目的や意味づけが見えにくい 
  • 正解が曖昧で、判断力を磨きにくい 
  • 対面のフィードバックを受ける機会が減っている 
  • “暗黙の了解”が伝わりにくくなっている 

若手の多くは、決してやる気がないわけではありません。 
むしろ丁寧で真面目です。ただ、「どう動けばいいか」が共有されないまま仕事が進む場面が増えているため、慎重さが過剰になってしまうことがあります。 

● 組織側にも変化が起きている 

  • チームがコンパクトになり、OJTが十分にできない 
  • 対面で育てる文化が弱まっている 
  • 業務が細分化され、全体像をつかみにくい 

こうした環境では、上司と部下の間に“期待の解像度の差”が生じやすくなります。

3. 最大のテーマ「主体性」──すれ違いはどこから生まれるのか 

研修で扱うテーマの中でも、近年とくに多いのが主体性です。ただ、研修で対話していると、「主体的に動く」の意味が人によって大きく違っていることに気づきます。 

● よくあるすれ違いの例 

  • 本人は「言われたことはやっている」と感じている 
  • 上司は「目的に照らして、自分なりに工夫してほしい」と望んでいる 
  • 本人は“慎重さ”を良かれと思って発揮している 
  • 上司は“スピード感”を求めている 

このように、同じ言葉を使っていても、期待している行動レベルがまったく違うことが多いのです。 

4. 研修では「主体性」を3つの行動に分解して整理した 

ある企業の研修では、主体性をより具体的にしてもらうために、次の3つの観点に分けて考えていただきました。 

① 考える(Think) 

  • 仕事の目的を確認する 
  • 問題点を整理する 
  • 選択肢を比較する 
  • リスクや周囲への影響を考える 

② 発信する(Speak) 

  • 途中経過を共有する 
  • 自分なりの考えを提案する 
  • 困った時は早めに相談する 

③ 協働する(Collaborate) 

  • 関係者と状況をそろえる 
  • 相手の立場を踏まえて調整する 
  • チーム全体の目的を意識して動く 

この3つをもとに実際の業務事例を出し合うことで、「上司が期待している主体性」と「自分が理解している主体性」のズレが見えるようになり、どの行動を変えればいいのかが具体化されていきました。 

5. いま求められている研修は、スキル習得より“考え方の軸づくり” 

一般社員向け研修のゴールは、単に方法やテクニックを学ぶことではありません。とりわけ集合研修でアプローチすべきことは、“どう考え、どう判断するか”という「仕事の向き合い方そのもの」を育てることです。 

● 研修で取り入れているアプローチ例 

  • 目的から業務を再設計するワーク 
    自分の担当業務を「どんな価値を生むための仕事か」から考え直し、主体性を引き出す。 
  • 変化対応力を鍛えるグループワーク 
    条件変更が起こるゲーム形式のワークで、優先順位づけや協働を疑似体験する。 
  • 後輩指導の実践ワーク 
    単なる教え方ではなく、信頼関係の築き方や支援のスタンスを扱う。 

eラーニングでは補いきれない、実践的で“思考の筋力”をつけるプログラムが重要です。 

6. まとめ:一般社員向け研修を「人的資本経営戦略」の一部にするために 

一般社員層の戦力化やエンゲージメントは、人的資本経営の重要な要素です。一般社員向け研修は、仕事環境の変化や研修提供方式の多様化を背景に、これまで以上に設計の難しさが増しています。しかしその分、企業にとって投資価値の高い領域でもあります。 

大切なのは、 

  • どの課題を解決したいのか 
  • なぜその課題が生まれているのか(環境・価値観の変化) 
  • 研修後にどんな行動を変えてほしいのか 

を丁寧につなげて設計することです。 

若手が仕事を自分ごととして捉え、変化に柔軟に対応し、周囲と協働し、キャリアを描けるようになることは、企業と社会のサステナブルな未来に直結します。 
現場での行動変化につながる研修をつくることが、これからの人材育成に求められる姿だと感じています。 


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