Web版 組織開発ハンドブック

組織開発

組織開発に必要な知識とスキル

米国の経営学会、アカデミー・オブ・マネジメント(Academy of Management: AOM)は、組織開発(Organization Development: OD)専門家養成コースにおいてクオリティ・コントロールを行うためのガイドラインを作成した。

米国の経営学会、アカデミー・オブ・マネジメント(Academy of Management: AOM)は、組織開発(Organization Development: OD)専門家養成コースにおいてクオリティ・コントロールを行うためのガイドラインを作成した。このガイドラインには、以下の分野における知識およびスキルが提示されている。

基礎知識1:組織行動学

・組織文化
・業務デザイン
・人間関係(フィードバックをする・フィードバックを受ける)
・権力・策略
・リーダーシップ
・目標設定
・コンフリクト(対立・衝突)
・倫理

基礎知識2:個人の行動(心理学)

・学習理論 [Learning Theory]
・動機付け理論 [Motivation Theory]
・認知理論 [Perception Theory]

基礎知識3:グループ力学

・役割
・コミュニケーションのプロセス
・意思決定のプロセス
・グループ発展の段階
・リーダーシップ

基礎知識4:マネジメントと組織論

・計画、組織化、先導、管理
・問題解決、意思決定
・システム理論 [Systems Theory]
・条件適合理論 [Contingency Theory]
・組織構造
・環境とテクノロジーの特性
・組織・システム効果のモデル

基礎知識5:調査方法統計

・主要な傾向の測定
・分散の測定
・サンプリング理論の基礎
・実験計画法の基礎
・サンプルの推定統計

基礎知識6:比較文化の見識

・国の文化の特性
・業界文化の特性(公的機関・私企業など)
・システムの示唆。ビジネス・マネジメント原理や実践に関する実用的知識

基礎スキル1~7

・人とのコミュニケーション:聴く、フィードバック、明瞭な表現
・協力⁄他の人と一緒に仕事をする
・問題解決
・新テクノロジーの使用
・概念化
・プロジェクト管理
・プレゼンテーション/教育/コーチング

ODのコア知識

ODのコア知識には、組織開発・組織変革(チェンジ)の技術と科学に直接係わる高度の理論、概念、枠組みが含まれる。これらに精通する学習者は、前述の基礎スキルや知識を既に有しているとみなされる。

コア知識1:組織デザイン

組織システムの要素を系統立て、提携させる決定プロセス。構造システム、人材システム、情報システム、報酬システム、業務デザイン、権力システム、組織文化を含む。

・適合と方向合わせの概念
・組織を構成するサブシステムの診断およびデザイン・モデルのあらゆるレベルにおける分析。業務構成、人材、情報システム、報酬システムなどを含む
・組織デザインにおける、主要な学識者

コア知識2:組織の研究

現場調査の方法、インタビュー、内容分析、アンケートおよびインタビューのデザイン、チェンジの評価プロセスのデザイン、長期にわたるデータ集計と分析、アルファ・ベータ・ガンマ変化の理解と探知、多種の量的・質的方法

コア知識3:システム力学

時間の経過を経て、システムがどのように進化し、展開するかの描写と理解。外的、内的な妨害要因、並びに計画された介入に、システムがどのように反応するかの理解。
(例:進化と変革、生断続平衡論 [Punctuated Equilibrium Theory ]、カオス理論 [Chaos Theory] 、カタストロフィ理論
[Catastrophe Theory]、増分変化 VS. 量子変化 [Incremental vs. Quantum Change]、変革理論
[Transformation Theory]など)

コア知識4:組織開発 (Organization Development: OD)組織変革(チェンジChange: C)の歴史

OD, C の概念の発起と発展を導いた社会的、政治的、経済的、人的要因の理解。主要な学識者と、彼らの著作や実績の基礎を成す意義、また主要な出来事と著作、関連論文に通じていること。

・人間関係論
・NTL/T グループ/感受性トレーニング
・調査研究
・ワークライフの質
・タヴィストック・インスティチュート[Tavistock Institute]
・主要な学識者
・人文主義的価値
・倫理に関する声明

コア知識5:変革(チェンジ)に関する理論とモデル

行動研究モデルの基礎、参加行動研究、プラニング・モデル、変革(チェンジ)のタイプ(急速、緩慢、累積的、飛躍的、革命的など)

コアスキル1:コンサルティング・プロセスの管理

適切に介入行動に参加・従事し、状況を診断し、介入プロセスをデザインし、実施する能力。プログラム化されていないイベントを管理し、チェンジのプロセスを評価する能力。

コアスキル2:分析・診断

システムの有効性を問い、現状の主要な原因を見出すスキル。このコア・スキルは全てのシステム、個人、グループ、組織、複数の組織、また自分自身についても問い、理解する能力を含む

コアスキル3:適切・有効な介入方法をデザイン/選択する

組織を現状から望ましい状態に移行させるための介入方法を選択、修正、またはデザインする能力

コアスキル4:ファシリテーションとプロセス・コンサルテーション

個人やグループの目標達成を助ける能力。クライアントのシステムが問題の原因となり続けているか、システムによりクライアントが行動やアクションの結果をよりよく振り返ることができるか、コントロールの度合いを高め、能力を向上させていると感じられるか、など、個人やグループのプロセスを探る能力

コアスキル5:クライアントの能力開発

将来、計画されたテクノロジーを有効かつ道徳的に利用して、クライアントが計画、実行できるよう、チェンジ・プロセスを実施する能力

コアスキル6:組織チェンジの評価

チェンジに向けての介入がもたらした影響やインパクトを評価するプロセスをデザインし、実施する能力。固定観念にとらわれずに、パフォーマンスの結果に関する説明や解釈ができる能力を含む