Web版 組織開発ハンドブック
ソーシャル組織開発
「元子ども兵の生きる力を支援するライフスキルトレーニング」実施報告書
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ライフスキルトレーニングとは?
ライフスキルトレーニングとは、WHOで定義されたライフスキル「日常生活に生じるさまざまな問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」を身につけられるように開発したものです。本サイトを運営している株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング(以下PFC)ではライフスキルトレーニングの提供を2018年より提供しています。これまでに、カンボジアにおいて貧困層の女性への自立支援を行っているNGOを対象に提供した実績があります。
PFCでは、このライフスキルトレーニングを世界で多く人が必要としているはずだと考え、どうすれば広められるか可能性を模索していました。そんな中で、幸運にも認定NPO法人テラ・ルネッサンスと出会い、検討を進める中でウガンダの元こども兵を対象にしたプログラムの実施で合意に至り、2019年に今回のプロジェクトを実現出来たのです。
元こども兵の一生懸命さがひしひしと伝わってきた
本プロジェクトの実施を行う上で、当初は元こども兵にとって価値あるプログラムの提供できるかどうかという不安も少しありました。こども兵は人を殺すことを日常的に強制される非常に特殊な環境で育っています。したがって、日常的な生活を行えるようになるまでには心理的なケアが長期に渡って必要なはずで、プログラムを受け入れてもらえないのではないかという不安です。しかし、それは実際にウガンダで足を運んで元子ども兵の皆さんと話すことで一掃されました。
元こども兵の皆さんと初めて会った時は、まだ見慣れない黒い肌の色と体格の良さに少し緊張が高まりました。ですが、職業訓練の授業で休憩も取らず真剣に取り組む姿勢や、質問にきちんと手振りを交えながら熱心に答えてくれるやりとりを通じて、彼/彼女らはこれから先の人生を生きようと一生懸命なのがひしひしと伝わってきました。百聞は一見にしかず、すぐに今がライフスキルを必要されているタイミングなのだと確信したのです。
境界問題を話し合いでアサーティブに解決できた
実際にウガンダで行われたライフスキルトレーニングの成果は、その時に抱いた確信に違わず素晴らしいものになりました。短い時間の研修でしたが確実に行動変容を起こっている事例を報告書内から少しだけ以下に紹介します。
・Assertion( 自分の意見を主張することを学ぶプログラム )に関する行動変容
Oさん(男性) 【誘拐された時の年齢:16歳 / 拘束期間:16年間】
家を修復しているときに、近隣の住民から「あなたは自分の敷地に超えている」との苦情が出て、それは事実でないと思ったが、その時に、攻撃的に反応せず、相手の立場に立って淡々とフェイスtoフェイスで自分の意見を適切に伝えてみた。そのことで感情的な争いにならず、再度、計測してみようという合意に至った。そして、近隣住民も(敷地を超えていないことを)納得してくれて平和的に問題を解決することができた。
・Interpersonal(人と良好な関係を築く方法を学ぶプログラム)に関する行動変容
Oさん(男性)【誘拐された時の年齢:12歳 / 拘束期間:7年間】
日々の生活で、近所の人たちに会うたびに挨拶をするようにしてみた。そうするとある時、ある近所の人が、夕食のために必要な野菜を持ってきてくれて、それを無償で分けてくれた。今までにこんなことはなかったので、挨拶をするだけでも関係性が変わることを実感した。
・AngerManagement( 怒りをコントロールする方法を学ぶプログラム)に関する行動変容
Oさん(男性)【誘拐された時の年齢:16歳/拘束期間:16年間】
妹が旦那から嫌がらせを受けて喧嘩になったので、私が妹宅を訪れて、妹の夫と話をしようと試みたが、彼は家を出て行ってしまって私の話を聞こうともしないという事があった。その時、私は彼の態度に非常にイライラしてしまったが、深呼吸して、いったん、そのことを話し始めるのを次の日まで待つことにした。そして、落ち着いて彼と話す事ができたことで、この問題を平和的に解決する事ができた。
また、本プロジェクトの現地の運営を統括して下さった小川真吾さんからも報告書において分析を行った結果「社会復帰に必要な知識と技術を習得する上でポジティブなインパクトを与える」との報告がありました。
報告書の更なる詳細についてはこちらをご覧ください。
実施報告書