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2026.01.28(水) お知らせ
■【記事】サステナビリティは日々の意思決定から始まる─PFC新オフィスと温室効果ガス排出量Scope4の示唆
こんにちは、サステナビリティ事業推進室の千葉達也です。
今月のコラムはいつもと少し趣向を変えてピープルフォーカス・コンサルティング(以下PFC)のニュースから入りたいと思います。
2026年1月、PFCのオフィス3階・4階が新たに生まれ変わりました。
リニューアルにあたっては、単なるリノベーションではなく、「私たちが日頃大切にしている価値観を空間として体現するにはどうしたらよいか」という観点から、議論を重ねてきました。1月19日には、日頃からご一緒している外部パートナーの方々や、ご家族の皆さまをお招きして“お披露目会”を開催しました。今後は公開講座やイベントでも活用していく予定ですので、ぜひ新しい空間を体験しに来ていただければ嬉しいです。


使用済み割り箸が「壁」になるまで
今回のリニューアルで、最もこだわったポイントの一つが「柱の壁面素材」です。実はこの壁、使用済みの割り箸が原料になっています。

素材を提供してくださったのは、カナダ発のB Corp認証企業 ChopValue。同社は世界で年間何十億本と消費される割り箸を都市の“未利用資源”と捉え、独自の高密度複合材として家具や建材に再生する循環型モデルを展開しています。2024年には日本でもマイクロファクトリーが立ち上がり、近隣飲食店から回収した割り箸が建材へと生まれ変わっています(参考:ChopValue Japan)。
私がこの取り組みに強い共感を覚えたのは、B Corp関連のイベントで彼らの話を聞いたのがきっかけでした。「ごみになるはずのものが資源に変わり、そこからまた価値が生まれていく」。そのプロセスは循環経済の理想論ではなく、都市のリアルな課題と向き合いながら現場で仕組み化されている点が印象的でした。
PFCとしてはごく小さな一歩かもしれません。しかし、こうした“代替の選択肢”について意思を持って採用することは、企業が社会に与え得るインパクトを考える上で、実は非常に重要な意味を持っています。
Scope1〜3に続く新しい考え方「Scope4」とは?
皆さんは 削減貢献量(Avoided Emissions)、あるいは Scope4 と呼ばれる概念をご存知でしょうか。
従来、企業の温室効果ガス排出量は
- Scope1:自社の直接排出
- Scope2:購入した電力などに伴う間接排出
- Scope3:原材料調達や物流・使用・廃棄などサプライチェーン全体の排出
という“自社とその周辺で出ている排出”を管理する枠組みで整理されてきました。
一方でScope4は、「自社製品・サービスが、社会全体の排出削減にどれだけ貢献したか」を測る視点 です。
たとえば、省エネ家電、高効率設備、リモート会議システム、断熱材など、従来より排出量の少ない選択肢に置き換えることで、“使われなかった場合に想定される排出量との差分”を「削減貢献量」として評価します。
Scope4はGHGプロトコルで正式定義されている枠組みではありませんが、WBCSDがガイダンスをまとめ、各国政府や企業が注目し始めています。特に日本では2022年以降、国際議論への提案や指針づくりが進められ、脱炭素社会に向けた新しい評価軸として存在感が高まっています。
なぜScope4が必要なのか
背景には重要な問題意識があります。
「企業が高い省エネ性能をもつ製品を開発しても、販売量が増えるとScope3の“総排出量”はむしろ増えてしまい、“努力しているのに評価されない”という矛盾が生じる」。
このねじれを解くためには、“社会全体の排出量削減にどれだけ寄与したか”という視点が欠かせないという考え方がScope4です。
また、社会的影響を測ることで、企業は環境価値を単なるコストではなく“イノベーションの源泉”として認識できるようになります。
PFCの小さな選択が示すもの
今回の割り箸素材の採用は、PFCの排出量(Scope1〜3)に直接大きな影響を与えるものではありません。しかし、「もし一般的な新規建材を使用していたらどうだったか?」と考えると、循環素材の選択はわずかながらも社会全体の排出削減に寄与しています。
これはまさにScope4の考え方に通じる行動と考えます。
企業の環境・社会インパクトは、自社の活動だけで完結しません。どの材料を選ぶか、どのサービスを取り入れるか、何をパートナーとするか——日々の意思決定の積み重ねが、社会全体の方向性をつくっていきます。
サステナビリティを考え選択し続けることの重要性
もちろん、Scope1〜3の削減は極めて重要で、すべての前提です。その上で、今後新たな取り組みを検討する際には、**「その選択は社会全体の排出削減にどれだけ貢献するか?」**というScope4の視点を、ぜひ意識してみてください。
サステナビリティは、理念や“正しさ”だけでは前に進みません。
現場で選択し続けること、実態に根ざした判断を積み重ねることこそが、最終的に社会を動かします。PFCも、その一端を担う企業として、これからも小さな挑戦を積み重ねていきたいと思います。
千葉 達也(ちば たつや)
株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング
サステナビリティ事業推進室長
