Web版 組織開発ハンドブック

ソーシャル組織開発

【講演録】「真のサステナビリティを実現するために日本企業が今挑むべき5つのステップ」(2021年10月1日開催)

ピープルフォーカス・コンサルティングは「真のサステナビリティを実現するために日本企業が今挑むべき5つのステップ」と題したセミナーを2021年10月1日にオンライン開催いたしました。本セミナーでは、FSGのリシ・アガワル氏に「ソーシャルエコシステムの現状と展望」について基調講演を行っていただきました。FSGとは、2000年に、ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーター氏と、同スクール上級講師のマーク R. クラマー氏によって創立されたCSV(共通価値の創造)コンサルティングをグローバル規模で展開する団体であり、アガワル氏はそのFSGマネージング・ディレクター兼アジア事業担当リーダーを務めておられます。

ピープルフォーカス・コンサルティングは「真のサステナビリティを実現するために日本企業が今挑むべき5つのステップ」と題したセミナーを2021年10月1日にオンライン開催いたしました。本セミナーでは、FSGのリシ・アガワル氏に「ソーシャルエコシステムの現状と展望」について基調講演を行っていただきました。FSGとは、2000年に、ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーター氏と、同スクール上級講師のマーク R. クラマー氏によって創立されたCSV(共通価値の創造)コンサルティングをグローバル規模で展開する団体であり、アガワル氏はそのFSGマネージング・ディレクター兼アジア事業担当リーダーを務めておられます。

様々なステークホルダーとの協働が可能性につながる

アガワル氏の講演は、靴商人の寓話から始まりました。2人の靴商人がある国を訪れたところ、その国の国民は誰も靴を履いていませんでした。それを見た商人の一人は「誰も靴を履いていない。この国で靴を売るのは無理だ」と考えましたが、もう一人の商人は「誰も靴を履いていないから、大きなビジネスチャンスがある」と考えたという話です。そして、社会的制約がある市場に対して、チャンスがないと思うか、あると思うかは、その人の見方次第であると続けました。社会的制約によって今はビジネスが成り立たっていなくとも(つまり、「ソーシャル・ジレンマ」があったとしても)、様々なステークホルダーと協働することで、その制約を取り除くことができれば、社会課題の解決とビジネスチャンス獲得の両方が可能になるのです。

日本企業がソーシャルエコシステムを実現するためには?

具体的な進め方としては次の5つのステップが有効です。

1.最優先の社会生態系を特定する
2.実現性評価のためにローカルチームを立ち上げ、エンパワーする
3.共に価値を創造する主要プレーヤーを見極め、動員する
4.主要なステークホルダーを集め、変革の青写真を描く
5.適正なガバナンス構造を設置し、資金を拠出する


アガワル氏は、建材企業のCEMEX、製薬企業のNovo Nordisk、消費財メーカーのネスレ等の事例を用いて、各ステップの解説を行いました。
そして、聴衆の方々の企業では、どのようなソーシャル・ジレンマがあるのか一考するよう投げかけて終わりました。

日企業がソーシャルエコシステムを実現するためには?

続いて、ピープルフォーカス・コンサルティングの取締役・ファウンダーの黒田由貴子が講演しました。黒田は、アガワル氏が紹介した5つのステップを日本企業が実践しようとしたときに、どのような課題があるか、どういったことに留意すべきかについて語りました。

たとえば、日本企業は既存の市場に注目しがちであり、故に「レッド・オーシャン」に陥りがちであること。しかし、そのような社会的制約があるからこそ競合がおらず、逆にこの制約をエコシステムを使って取り除くことで「ブルー・オーシャン」を享受できるという考え方を身に付けるべきと説きました。日本企業が5つのステップを効果的に行うには乗り越えるべき課題が多々ありますが、これを行うことが、企業体質改善にもつながるのです。

最後の質疑応答の時間にも、聴衆の方々から多くの質問をいただき、このテーマに対する関心の強さが感じられました。