コラム

2024.09.27(金) コラム

ATD-ICE2024 PFCラーニング・チーム オンライン報告会レポート ~基調講演~

前回のATD-ICE2024レポートに続き、3回目の今回は「基調講演」からご紹介します。

※本コラムとATD-ICE2024について:毎年5月に米国で開催される、国際的な組織ATD(the Association for Talent Development)の主催する組織開発・人材開発のプロフェッショナル向けの世界最大規模の国際イベントATD-ICE(ATD International Conference & EXPO)。PFCでは毎年ラーニング・チームを組んでATD-ICEに参加しています。この記事は、7月19日にオンラインで開催された報告会の内容をまとめたものです。

初回の基調講演の前に、Robert Fogarty氏(Dear World社)によるミニ・セッションが行われました。自分の重要な体験や情熱を共有するストーリー・テリングのワークを通じ、参加者は自分の人生を振り返り、何に動機づけられ、何に情熱を感じ、何を大切に生きてきたのかを再認識しました。各々の振り返りから価値観をテーマにした基調講演に続く、デザインされた導入でした。

このミニセッションの後、最初の基調講演が始まりました。

基調講演1
Opening General Session with Matthew McConaughey
人生の困難を乗り越えるための信念を持つ 

講演者 Matthew McConaughey アカデミー賞受賞俳優、ニューヨークタイムズベストセラー作家
McConaughey氏は、厳しい社会や生き残ることが難しい業界でどのようにして成功を収めてきたかについて、自身の30年以上のキャリアを振り返りながらインタビュー形式で語りました。彼は、自分が喜びや情熱を感じるものを見つけ、それを続けることの重要性を強調しました。厳しい状況を乗り越えるには、失敗を教訓と捉え、「All Right, All Right, All Right!(大丈夫、大丈夫、大丈夫!)」という楽観主義と適切な準備が必要だということです。
人生においても、自分の価値観や情熱を燃やせるものにエネルギーを注ぎ、失望を管理し、ポジティブな姿勢で乗り越えることが重要であると語りました。

また「(仕事を進めるうえで)それぞれの役割を定義した上で、その人が持つ固有の能力や独自のアイディアが活かされる環境を与えることで、人はより主体的になり輝きを放つようになる」とも語りました。

監督や組織のリーダーはメンバーの役割を明確にし、彼らのアイディアを尊重することで主体性と責任感を引き出し、達成感を高める最良のリーダーはアイディアの所有権をチームに与えることが重要など、リーダーたちへのメッセージも。

基調講演2
Act Now to Navigate What‘s Next
今すぐ行動し、次の展開を切り開く

講演者 Daniel Pink ニューヨークタイムズベストセラー作家モチベーション3.0『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』など
経済が好調である一方で、消費者が不安を感じている現状。米国の失業率が低水準にとどまっている一方で、信頼感は低迷しています。

「多くの人が週 4 日勤務やリモートワークを選択しており、 秘密の副業をしたりひっそりと退職するなど、新しい働き方をしている。AIが私たちに何をもたらすかについても不透明」としたうえで、行動することで答えを見つけることの重要性を強調。失敗を恐れず、新しいアイデアやアプローチを試すことの重要性を説きました。

未来の変化に対応するための具体的な5つの戦略として、以下を挙げています:

  1. やらないことリストの作成:エネルギーを消耗させるタスクを除去することに焦点を当てる。
  2. 進捗の儀式を確立する:毎日の終わりに達成したことを3つリストアップし、モチベーションと達成感を高める。
  3. 目的に焦点を当てる:HowではなくWhy(なぜやるのか)に焦点を当て、モチベーションとパフォーマンスを向上させる。
  4. 定期的に休憩を取る:スマホを持たずに好きな人と仕事以外の会話をしながら15分ほど外で散歩する時間を持つ。
  5. 大胆な決断を下す:人は何をしたかよりも、何をしなかったことを後悔することが多い。

基調講演3
Embracing Risk, Mentorship, and Change.
リスク、メンターシップ、変化を受け容れる

講演者 Venus Williams テニス界のレジェンド。グランドスラムのシングルスで7度優勝。
この講演もインタビュー形式で行われ、一般の方々が人生の大きな節目となった経験を語る動画が流されました。これに続いて、Williams氏は自身のテニスプレーヤーとしての経験から以下のポイントを語りました:

  1. ポジティブなマインドセット:ビーナスは試合に敗れた時の経験から「リロード、リチャージ、スタートニュー」というマントラを持っており、このマインドセットが成功へのカギである。敗北は一瞬であり、一時的なもの。学びと成長の機会としてとらえることが重要。
  2. コーチングとメンタリング:自身のキャリアにおいてコーチやメンターの存在が大きかったことに触れ、技術面だけでなく、貴重な人生の教訓も教えてくれたことを強調。若い才能の育成や支援に大いに影響を与える。
  3. 多様性と包括性:スポーツにおける多様性と包括性の推進者として、さまざまな背景を持つ人々にスポーツの機会を与える重要性を強調。将来は人種に関する議論が不要となり、多様性が強みとして活かされる社会を望んでいる。
  4. 人生を楽しむ:最後にポジティブで前向きな人生を送ることの重要性を強調。どんな状況であっても前向きにとらえ、人生を楽しむこと、愛することを大切に。


3回に渡ったATD-ICEのレポート、いかがでしたでしょうか?
来年度のATD-ICE2025ももう始動しています。場所はWashington D.C.で、2025年5月18~21日に開催されます。PFCラーニング・チーム募集は2024年9月以降にご案内の予定です。どうぞお楽しみに!