コラム

2024.08.19(月) コラム

ATD-ICE2024 PFCラーニング・チーム オンライン報告会レポート ~Learning Technologies~

前回のATD-ICE2024レポートに続き、2回目の今回は「Learning Technologies」のトラックからご紹介します。(今年は以下の13のラーニングトラックが設定されていました。)

※本コラムとATD-ICE2024について:毎年5月に米国で開催される、国際的な組織ATD(the Association for Talent Development)の主催する組織開発・人材開発のプロフェッショナル向けの世界最大規模の国際イベントATD-ICE(ATD International Conference & EXPO)。PFCでは毎年ラーニング・チームを組んでATD-ICEに参加しています。この記事は、7月19日にオンラインで開催された報告会の内容をまとめたものです。

Emerging Corporate Learning Trends With the Development of Generative AI
生成AIによって出現する企業研修のトレンド 

講演者 Dongshuo Li (ドンシュオ・リー) UMU Founder & CEO
近年、AIの急速な進化に伴い、企業におけるその活用性が飛躍的に高まっています。AIに取って代わられる仕事についての議論では、AIが容易に代替できる業務と、人間にしかできない熟練した職人のような仕事があるとされています。しかし、熟練した職人の仕事であっても、マニュアル化可能な業務はAIに取って代わられる可能性が高いと指摘されています。実際、今回のATDでは、以前は日本語、韓国語、中国語、スペイン語の通訳者がいた場面で、すべてAIが通訳を担当し、完全にAIが取って代わっていたということでした。

また、AI活用による生産性向上の事例が2つ紹介されました。1つ目は、カスタマーサポートにAIを活用し、平均処理時間が改善されたケースです。国内でもパーソルグループの成功事例があり、社員のアップスキリングを推進した結果、業務時間が43.5%削減され、社員が学習や創造的な業務に時間を割けるようになりました。2つ目は、ハーバードビジネススクールとBCGの調査結果で、AI活用により仕事のミス率が減少し、タスクの生産性が向上したことが示されています。特に、経験の浅い人ほど効果が高く、AIを活用することで高いパフォーマンスを発揮できるようになるため、非常に効果が期待されています。

近年、AIの導入に関しては、その効果が広く認識されているにもかかわらず、実際に導入している企業は少ないのが現状です。その主な障害として、AIに対する知識不足や勉強不足、効果の不確実性、そしてAIを活用するために必要な知識やスキルの不足が挙げられます。

今後、AIから背を向けることはできないため、AIを効果的に導入するためには、AIリテラシーを高めることが不可欠だという話もありました。AIリテラシーを高めるための3つの要素は以下の通りです。

  1. マインドセット:新しい技術の探求、変化を歓迎する姿勢、オープンマインド。
  2. 知識:AIの基礎知識、AIの応用方法、ツールの活用、実用事例の理解。
  3. スキル:プロンプトの書き方、情報の精査、情報の統合。

AIの活用を避けずに、しっかりとAIリテラシーを高めていかないと、時代に取り残されるリスクが高まります。

また、AIの活用が進む一方で、普遍的なリーダーシップの重要性も感じられます。リーダーシップは人間に固有の課題であり、テクノロジーの進化によってどのように変わっていくかは、今後も注目すべきテーマです。


ATD-ICEの個別セッションレポート、いかがでしたでしょうか?次回は、基調講演の様子をお伝えします。次回のレポートもお楽しみに!


来年度のATD-ICE2025ももう始動しています。場所はWashington D.C.で、2025年5月18~21日に開催されます。PFCラーニング・チーム募集は2024年9月以降にご案内の予定です。どうぞお楽しみに!