コラム

2024.08.28(水) コラム

■ 星野リゾートが「社員が自立して働ける環境」を作るまで

弊社ブランチャード事業部が監修した『社員の力で最高のをチームをつくる 1分間エンパワーメント’(宝島社)』はもうお読みになられましたか?本書の中では、序文も執筆されている星野佳路さんが経営する「星野リゾート」の事例も紹介されています。今回はその一部をご紹介します。

エンパワーメントを通じて社風が変わった

「CEOの星野佳路氏と社員たちが、いつも対等に議論を交している」という星野リゾートは、昔からそんな活気ある社風だったわけではないそうです。

長野県軽井沢にある1914年開業の「星野温泉旅館」。1991年に現CEOの星野佳路氏が経営を引き継いだとき、旅館は高い離職率、求人難、社員のモチベーションの低下など、人材に対する課題を抱えていました。辞職の理由のほとんどは会社への不満。社員たちは旧態依然の階層組織でひたすら不満を溜め込み、離職していったのでした。(P46)

そこで星野氏が活用されたのがブランチャードの「エンパワーメント」理論だったのです。

例として、2005年から星野リゾートが運営を手がけている石川県加賀市にある老舗旅館「白銀屋」の黒字化があげられています。当時29歳だった社員が総支配人に送り込まれ、20代のスタッフと共に再生に取り組んだそうです。

総支配人が心がけたことは、現場目線で全員が一緒に考えること。以前から残るスタッフも含めてセルフマネジメント・チームの組織体制はスムーズに受け入れられ、皆が自由で対等に議論を重ねるようになり、業績は黒字に転じたのです。(P46)

また、青森県三沢市の老舗旅館「青森屋」では一例として、星野氏の部下でもある支配人が星野氏に意見を述べる姿を従業員に見せたそうです。それによって、スタッフたちが安心して発言できる環境をつくり出したのです。

3つの鍵を融合させることが成功の鍵

本書に書かれている「3つの鍵」とは
第1の鍵「全社員と正確な情報を共有する」
第2の鍵「境界線によって自律した働き方を促す」
第3の鍵「セルフマネジメント・チームを育てる」

の3つ。

エンパワーメント理論を基に実家の星野温泉旅館の組織改革に乗り出した星野佳路氏がまず実践したのも、第1の鍵である「情報の共有」でした。

社長目線の問題点を社員にぶつけても、社員は「現場を知らないくせに」と思います。そこで外部調査による顧客満足度に関するデータを社員たちに公開。食事、フロントサービス、大浴場、部屋などの評価は高いものではありませんでした。すると、社員たちは初めて客観的な評価に触れ、自ら改善をしようと意欲的に。この「お客さまに満足してほしい」という気持ちこそ、人が本来備える能力であり、最大限に引き出し活用するべきだと感じた星野氏は、顧客満足度の引き上げを目標に設定。第3の鍵「セルフマネジメント・チーム」を目指して、社員たちが自律して働ける環境づくりに取り組みました。(P80)

これによって従業員のモチベーションは高まり、離職率も低下、さらに顧客の満足度も上がり始めたのだそうです。ただ、顧客満足度を高めようとすると当然設備や人員のコストが増えがちです。ここで登場するのが第2の鍵「境界線によって自律した働き方を促す」です。

星野リゾートのビジョンを「リゾート運営の達人になる」と設定し、顧客満足度と利益を両立することを目的に再始動。このとき、新たに旅館の収益情報を社員に開示すると、社員たちは費用対効果を考えて議論するようになり、それまで経営陣だけで取り組んでいた経費削減にまで対策を打ち出してくれるようになったのです。(P80)

エンパワーメントの実現までは長い旅です。では、皆さんの会社でエンパワーメントを実現するにはどうしたらよいのでしょうか?

PFCブランチャード事業部では、『社員の力で最高のをチームをつくる 1分間エンパワーメント』漫画版出版を記念して、5つのツールからなる「エンパワーメント・スターターキット」を無料で差し上げています。経営者・人事担当者のみならず、管理職や主任クラスのビジネスリーダーの方にも是非、ご覧いただきたいキットになっています。
エンパワーされた組織づくりに、是非ご活用ください。
ダウンロードはこちらから(ブランチャード・ジャパンのサイトにリンクされています)