Web版 組織開発ハンドブック

2022.06.02(木)組織開発

エンゲージメント

 今日では、多くの欧米企業が「従業員エンゲージメント」や「顧客エンゲージメント」の向上を最優先課題のひとつとして挙げている。「エンゲージメント(Engagement)」とは、平たく表現すれば「会社に対する愛着心」といえる。従来の考え方と一線を画しているのは、「満足度」ではなく「愛着心」に着目している点だ。自発的に行動し、仕事に熱中する社員、仲間を信頼し合い、組織の成功のために一丸となるチーム、そして高い業績。これは、誰もが夢見る理想の組織であろう。このような職場の尺度となるのが「エンゲージメント」レベルであり、最近、組織開発の分野で最も注目されている考え方なのである。

組織におけるエンゲージメント・レベル

 「エンゲージ」されている社員は下記のような行動をとるといえる。

・組織への信頼
・ 改善への欲求
・ 業務内容と「全体像」の理解
・同僚への尊敬、協力
・献身的に業務に取り組む姿勢
・ 業界の最新動向の把握

 そして、エンゲージメント研究が深まるにつれて次のようなことが明らかになってきている。

・エンゲージメント・レベルは業績向上と相関関係がある。
・エンゲージメントを促進する要因には、理性的な部分と感情的な部分があり、感情的な部分が与える影響のほうが大きい。
・エンゲージメント・レベルを把握するには、従来の社員意識調査や社員満足度の考え方は不適切である 。
・ エンゲージメントは現場レベルで強化される。

顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメント

 ギャラップ社は世論調査で有名であるが、エンゲージメント研究においても、数百万人という膨大なデータ分析や企業の実態調査、そして脳医学上の実験までをも手がけており群を抜いている存在だ。

 そのギャラップ社が行った或る企業の実態調査から、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントの両方が優れている事業ユニットは、両方の成績が悪いものと比べて格段に優れた業績を上げていたことがわかっている。それに加えて、両方が優れている事業ユニットは、どちらか一方しか優れていないものよりも業績が高かったという。また、その後の調査によって、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントは事業ユニットのレベルで相互作用し、一方が一方を改善して、且つ、これを加速させ、業績全体を向上させていることを確認している。

 このことからも分かるように、顧客や従業員の「エンゲージメント」を向上させることで組織力を最大化し、良質な顧客接点を作ることが可能なのである。

エグゼクティブ・コーチングとコンサルティングの違い

 エグゼクティブ・コーチングでは、コーチがコンサルタントのようにクライアントに代わって問題解決することはない。従って、エグゼクティブ・コーチが調査や分析や戦略立案をしてくれると期待してはいけない。あくまでも、エグゼクティブ自身が問題の解決をすることの後押しをするのが、エグゼクティブ・コーチングの目的である。クライアントの課題や目標を出発点とする点において、コンサルティングと類似しているが、エグゼクティブ・コーチングとコンサルティングは全く異なるものである。エグゼクティブ・コーチングの焦点はエグゼクティブの成長にあるから、従来の手法やサービスがなかなか触れることの出来なかった人間特有の領域に密接に触れていく。

エグゼクティブ・コーチの資質と選び方

 エグゼクティブ・コーチは、単なるコーチングのスキルや知識ではなく、ましてや資格や経歴ではない、職業人としての見識と人格と倫理を問われる存在である。そうでなければエグゼクティブが全幅の信頼を置いて相談できる相手たりえない。個人としての深い学びと組織の成功のために、慎重にかつ大胆にコーチを選ぶ必要がある。ただし、コーチはメンターとは異なるので、自分より「先輩」であったり「業界エキスパート」である必要は必ずしもない。

 エグゼクティブ・コーチを選ぶにあたっては、以上を念頭におきながらコーチを選び、先入観に囚われずに話をすることである。そのコーチは何を経験してきて、何のためにどのようなコーチングをしてくれるのか。どのような洞察力をもってエグゼクティブの世界をともに探索してくれるのか。そのためにどのような覚悟と約束をしてくれるのか。このようなことを探ってみよう。

 最後に、一番大事なことは、あなた自身が、自分の成長のために、コーチングに対してどのような覚悟と約束をできるのかを忘れないでいただきたい。