Web版 組織開発ハンドブック

2022.06.23(木)組織開発

対話型OD(組織開発)

 OD(組織開発)のアプローチには、大別すると、診断型と対話型の2つがある。
診断型ODは、専門家が組織の状況を診断・分析し、課題とその要因を特定し、課題解決や目標達成のための介入策を立案し、実行過程をファシリテートするというアプローチである。古くから活用されてきた手法だが、変革をする側とされる側という分断が生じ、組織の構成員が受け身となってしまうことが弱点であると指摘されていた。

 そこで近年、浮上してきているのが対話型ODである。対話型アプローチでは、専門家が分析や対策の立案を行ったりせず、組織の構成員が主体となって進める。構成員らが集まり、「対話」を通して、自ら変化を「生成」していくのである。そこに計画はなく、対話すること自体が変化を生み出すと見なす。そして、ODの専門家も、その場の一員として対話に参画するのである。
対話型ODには、「社会に存在するありとあらゆるものは、人間が対話を通して頭の中で作り上げたものである」とする「社会構成主義」という考え方が土台にある。対話型ODの利点としては、人々のモチベーションや一体感が向上し、変革が定着しやすいということが挙げられる。

 企業における実践状況としては、ワールドカフェやアプリシエイティブ・インクアリーなど、対話型ODの一部のツールや手法が取り入れられているが、本格的な対話型ODで変革を成功させた実例はまだ少ない。