お知らせ

2022.01.06(木) お知らせ

年頭のご挨拶(代表取締役 松村卓朗)~2022年のPFCの挑戦:3つのアップデート~

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、皆さま方には大変お世話になり、ありがとうございました。
本年も、昨年に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 年頭のご挨拶の場を借りて、我々PFCの今年の挑戦のいくつかをお話させていただきたいと思います。

コロナ禍が私たちに与えてくれた”気づき”

 新型コロナウイルスの感染症のパンデミックが起きてから早2年が経とうとしています。

 日本国内では新たなオミクロン株の感染者が徐々に増加しており、一旦落ち着いていた感染状況も今は各地で広がりを見せていて、まだまだコロナ禍の収束の出口は見えない状況にあります。一方世界に目をやっても、例えば欧米でも一段と広がるばかりで、この年末年始にはイギリスやイタリアなどで軒並み新規感染者数記録を更新したというニュースを耳にしました。アメリカに至っては1日に報告される新規感染者数がこの1月3日にはついに100万人を超え、これまでで最も多い数を大幅に更新しました。

 今回のパンデミックは、私達を含む世界中の人達に、多くの悲劇をもたらしましたが、一方で、「自分や自社や自国のことだけ考えても仕方がなく、世界・地球全体のことを考えないと意味がない」という大きな気づきも与えてくれました。コロナ禍が明らかにしたのは、”世界は小さく、一つである”ということです。「ワクチンに誰もが平等に自由にアクセスできない限り、新型コロナウイルス感染症をはじめとする世界の多くの社会課題は解決しない」ということを身をもって共通体験できたことは、何ものにも代えがたいことです。例えばワクチンのような“世界公共財”と言ってもよいものにすべての人が平等に自由にアクセスできる社会を目指すことは、これからの世界を形成する上で必要不可欠な価値観だと考えます。

 思い返せば、私達はSDGsやサステイナビリティの重要性を様々な場で語ってきましたが、2年前にコロナ禍が起きるまでは、真の意味を多くの人が実は理解・実感できていませんでした。

 SDGsは「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」社会をつくることを目的に謳っていますが、多くの企業では、その根本の目的はさほど意識されないまま取組みが進んでいました。
 サステイナビリティ(地球の存続)が大事と語ったところで、「そんなの国連や政府が考えることで、一企業や一企業人が考えることではないでしょ」と言われ続けていました。
 しかし、コロナ禍によって、私達ビジネスパーソンの間で、サステイナビリティの重要性の肌感覚での理解は大きく進みました。

 皆さんにご提供する研修の中で「参加者に“気づき”をもたらすこと」を最も大事にしてきた私達は、気づきがもたらすパワーの偉大さをよく知っています。コロナ禍によって、未知のウィルスはもちろん、気候変動・貧困・格差など世界中の人達が取り組まなければ決して解決しない問題がたくさんあるということに、多くの企業やビジネスパーソン達が身をもって気づきました。社会のメインプレーヤーとして自分たちが主導的立場として取り組まなければ、解決を導けないことにも気づきました。それどころか、大きな損失を被り、自分達の存続すら危ぶまれることになると気づいたのです。
 気づいた人達が目指すのは、持続可能な社会です。「サステイナビリティ・ファースト」、すなわち、地球社会のサステイナビリティをあらゆる要素の一番に考える、一企業の成長や儲けなどより重要と普通に考える、そんな価値観がビジネス社会を席巻する日も近いのではないかと考えています。

 それでは、2022年の始動にあたり、今年のPFCの挑戦の中から3つのアップデートについてお話したいと思います。

2022年の挑戦①:階層別研修プログラムのアップデート

若手社員から次世代経営層育成までリーダーシップおよびマネジメントスキルの“リスキリング”

 1つ目の挑戦は、ご提案・ご提供する階層別研修プログラムのアップデートです。コロナ禍の1年目であった2020年には、私達が提供するサービスのほとんどは、オンライン/バーチャル/リモートで提供できるように対応しました。コロナ禍の2年目であった昨年2021年には、単に研修の提供方式を変えるのみならず、内容面でも様々なアップデートを行いました。

 階層別研修は、はやりすたりの影響は比較的小さいので、同じような内容を長年当たり前に運用してきた企業は少なくありません。しかし、リモートワークやジョブ型導入等の環境の変化によって、これまでのやり方やスキルが通用しなくなることが多く発生しました。自己流でやれていた人とそうでない人とで大きな差も生まれました。そのため、コロナ禍を一つの契機として、あらためて基本的なリーダーシップやマネジメントスキルの習得を促す企業が増えました。我々もクライアントの皆さんと一緒に、研修内容の再整理や、全く新たなコンテンツの追加などを果敢に行いました。

 2022年にかけては、“リスキリング(学び直し)”をテーマに掲げるクライアント企業が目につきます。その多くがDXを推進するためのデジタル人材育成に焦点をあてているようですが、リーダーシップやマネジメントスキルも“リスキリング”し、アップデートする必要があるのではないでしょうか。
 今年は、昨年アップデートした各階層別研修を、広く多くのクライアントの皆様にご提案・ご提供することで、コロナ禍をしたたかに乗り切り、人材をさらに強化するお手伝いをしたいと考えています。各階層に向けたプログラムの内容については、次回の記事で具体的にご紹介したいと思います。

2022年の挑戦②:変革および組織開発支援アップデート

変革では“人と組織の真のトランスフォーメーション”を、組織開発では“ソーシャル組織開発”を推進支援できるよう、最新事例や具体的なヒントを提供

 2つ目の挑戦は、変革および組織開発の支援の具体論のアップデートです。

 変革の推進はいつの時代も重要な経営テーマです。昨年は、DXに関して2回にわたって現役のCDOの方をお招きしセミナーを行いました。
※福士博司氏(味の素株式会社 取締役 代表執行役副社長 CDO。CDO Club Japanにより「Japan CDO of The Year 2020」を受賞された)ならびに三枝幸夫氏(出光興産株式会社 執行役員 CDO/CIO)

 特に印象的だったのは、CDOをお呼びしDXの話をしていただいたにも関わらず、デジタルの話への言及がほとんどなく、結局は人と組織文化の変革の話が主だったことです。福士さんは「経営陣がパーパスを再定義すること」、三枝さんは「現場の巻き込みに腐心すること」が成功の鍵だと断言していました。

 昨年発刊された経産省の「DXレポート2」でも、人と組織文化の変革が最重要と言及されていました。いまだに日本国内企業の9割が「DX途上」または「DX未着手」にとどまっているのが現状との指摘もあり、推進にあたっては、「素早く変革し続ける能力を身に着けること、そしてITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することがDXの要」と述べられています。

 DXがなかなか進展しない根底にある問題は「DX=デジタル化・IT化」と多くの人が誤解していることにあるのではないかと私達も考えています。Dではなく、Xに焦点を当てなければなりません。
 DXの本質が「デジタルを活用した“ビジネスモデルの変革”」である限り、すべての社員に関係してくるテーマです。従って、DXを推進するには、プロマネ(プロジェクト・マネジメント)に加えて、チェンマネ(チェンジ・マネジメント)が必要となります。 チェンマネを行うには、「変革のリーダーシップ」の発揮が不可欠です。

 変革のリーダーを育成する際、私達はハーバード大学のコッター教授の理論を元にした5つの変革のステップ(1~5:危機意識の醸成から抵抗勢力への対処まで)を提唱してきました。
 しかし、DXにおける変革で適用するにはアップデートする必要があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 今年は、クライアント企業のDXをはじめとする人・組織の変革が、トランスフォーメーションしたと言える成果を真にもたらすことができるよう、アップデートした考え方で具体的にご支援していきたいと思っています。

 また、OD(組織開発)も、“Social OD(ソーシャル組織開発)”にアップデートしてご支援していきたいと考えています。

 Social OD(ソーシャル組織開発)というのは私達の造語です。
 OD(組織開発)の狙いは、「組織をより強固に健全に」というものでしたが、Social OD(ソーシャル組織開発)の狙いは、「社会をより強固に健全に」というものです。地球そのものが危ないというこの時代に、単に一つの組織・一つの企業のことを考えて組織開発に取り組むのでは、まったくもって足りません。社会全体を視野に入れた組織開発によってこそ、真の意味での組織開発が進むという思いがあります。

 このような思いを胸に昨年は様々なプログラムを開発・提供する一方、CSVの分野の世界的なコンサルティング会社であるFSG(CSVの提唱者であるハーバード大学のマイケル・ポーターが創業)との共同セミナーを行いました。

 CSVの実現(経済価値と社会価値の創出)の実現にあたって日本企業が留意すべき点があると、日本企業への示唆を中心に考え方を紹介しました。

 上述したDXやソーシャル組織開発といった取組みは、当然時間もかかりますし、組織の上から下まで多くの人が関わってはじめて意味がある活動です。一朝一夕にすぐに成果があがるものでもありません。我々自身も腰を据えてクライアント企業の皆様をご支援したいと思いますし、そこで得た・経験した新たな知見を、多くの皆様に向けて具体的なメッセージとして発信していきたいと思います。

2022年の挑戦③:PFCのアップデート

BEST IN THE WORLD(世界一)を目指すのではなく、“BENEFIT FOR THE WORLD”(世界のために)存在するコンサルティング会社となることを志して

3つ目の挑戦は、私達PFC自体のアップデートです。

 昨年、私達PFCでは、「B-Corp」認証取得企業となることを志し、タスクフォースチームを結成し、自社の社会へのインパクトを見える化する活動を始めました。

 B-Corp とは、Benefit Corporation、すなわち、社会にベネフィット(便益)をもたらす会社のことを指します。米国ペンシルバニア州の非営利団体「B Lab」により2006年に発足したB Labの掲げる基準(五つの分野=ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマーから構成されます)を満たすことが認証条件となります。

 日本ではまだほとんど知られていないこともありますが、認証条件は極めて厳しく、現時点で国内の認証企業はたった6社です。しかし、例えば仏ダノン社などは全世界で認証取得に乗り出し、日本法人も既に取得し、従業員や地域、環境にも利益をもたらす社会的企業であることを強く打ち出しています。
 PFCでは2021年に定款も変更し、Benefit Cooperationになることを謳いました。 B-Corp認証に挑むPFCの取り組みについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 認証結果を得るまでには時間を要しますが、今年は実装・維持のフェーズに入りますので、認証結果如何に関わらず当初の志を変えずに一つ一つの活動を皆で行っていきたいと考えています。

 本年も皆様と、組織開発・人材開発に関する様々な取り組みをご一緒させていただくことを、心より楽しみにしております。

皆様にとって、素晴らしい2022年になりますように。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

(株)ピープルフォーカス・コンサルティング 代表取締役 松村卓朗