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2022.01.20(木) お知らせ

ATD2021基調講演のご紹介

 今年は、2021年8月末~9月初めにかけソルトレイクシティ(米国)で、人材開発系の一大カンファレンスATD-ICEが、現地参加とオンライン参加のハイブリッド形式で開催されました。
 世界中から1万人を超える関係者が集まり、様々な講演やセッションが行われています。特に3つの基調講演は、人材開発・組織開発のトレンドを見る上で毎年注目を集めており、今回はそのご紹介をしたいと思います。

1) True Grit: The Surprising and Inspiring Science of Success

Angela Duckworth氏
ペンシルベニア大学心理学教授、Character Lab CEO。著書に「The GRIT(邦題:やり抜く力 GRIT)等。

 ”才能は重要だが、それを引き出すためには努力が必要だ“というDuckworth氏は「グリット」について主に語りました。

グリットの探求

 Duckworth氏は研究の中で、卓越した人の共通点に注目し、それが知性や天賦の才能の問題ではないことを発見しました。「グリット」とは、優れた業績を上げている人に共通する、「情熱」と「粘り強さ」のことです。

グリットと人材開発

 そして、人材開発の分野では「グリット」について議論することが重要であることを示しました。それは、「グリット」が人をより良くするために役立つからです。
「グリットは固定されたものではなく、成長するものであり、あなたは人々がそれを成長させる手助けをすることができるのです。」と氏は語っています。

エキスパートの地位を獲得するための方程式

 氏は同時に、エキスパートの地位を獲得するためには、スキルや努力だけでは不十分であると指摘しました。認知科学者の K. Anders Ericsson は、意図的な練習と建設的なフィードバックが、ワールドクラスのアスリートやチェスのチャンピオンなど、一流の才能を持つ人々に共通する特徴であることを指摘しています。

グリットの構成要素

 グリットは後天的に伸ばすことができ、これを高める取り組みをすれば成果を出せる人材になることができ、個人にとっても企業にとっても喜ばしいことだとして、グリットを高める方法をあげました。

1.興味があることに打ち込む
2.失敗を恐れず挑戦を続け
3.小さな成功体験を積み重ねる
4.グリットが高い人のいる環境に身を置く

2) Three Steps to Regenerate Your Team

Patrick Lencioni氏
Table Group 創設者兼代表。著書に「理想のチームプレーヤー」等。

Lencioni氏は、「チームワークが究極の競争力であり続けるのは、それが非常に強力で稀なものだからだ」と主張しています。

この革命的で実践的なフレームワークは、25年間のチームへの取り組みに基づいており、適切な人材をバスに乗せ、適切な席に座らせ、最終的に適材適所のハイパフォーマンスなチームに変えるためのものだと言います。

チームを作るための3つのステージ

Lencioni氏は、チームを作るには3つのステージがあると説明しています。

1. 適切な人材をバスに乗せる

 まず、適切な人材を確保することです。理想的なチームメンバーは、「謙虚さ」「ハングリー精神」「賢さ」という3つの特性を兼ね備えています。この3つを兼ね備えたチームメイトが必要です。

 謙虚であることは、他者を中心に考えることです。謙虚な人は自信がないわけではありません。自分のユニークなスキルや才能を無視するのは良くないし、謙虚でもありません。ハングリーな人は高い基準を持っています。最低限のことしかしません。賢いとは、人や状況を読み取ることができることです。

2. 適切な席に座らせる

 個人の「働く天才」を理解することで、どのような人が適切な役割を担っているかを促進することができます。

3. ハイパフォーマンスチームに変える

 チームにパフォーマンスを発揮させること。
 信頼の問題、衝突への恐れ、コミットメントの欠如、アカウンタビリティーの不足、結果を出せないことを克服することで、チームはハイレベルのパフォーマンスを発揮するようになります。信頼の問題を克服することで、他の障害を乗り越えるための強固な基盤を得ることができます。

3) The 5 Second Rule: Achieve Breakthrough Performance in Your Career and Life

Mel Robbins氏
米国の弁護士、テレビ司会者、作家。著書に「The 5 Second Rule(邦題:5秒ルール)」等。

 Robbins氏が人生を変えることに成功した“5秒”ルール。科学的な裏付けのあるこの方法はTED等で多くの人々に紹介されています。セールス、リーダーシップ開発、イノベーション、成功のための鍵である「5秒ルール」を実践し、行動を変え、賢くリスクを取り、チームのベストを引き出し、結果を生み出す秘訣について語ったセッションでした。

勇気を持つ

 ”私がここに来た理由はひとつ、それはあなたに力を与えるためです”と切り出しました。現在の状況は人生で最大の瞬間だが、それには勇気が必要。勇気とは、難しいことや怖いことを実行する能力と定義しています。

5秒ルール

 5秒がやる気スイッチを入れる効果的な理由、それはやる気がどんどん出なくなる前に行動を始めることにあるからだそうです。脳には「自動運転」(いつも通りの行動を選択する)と「非常ブレーキ」があり、いつもと違うことをしようとすると、それを嫌い止めたがる作用が働きます。脳は省エネで活動することを好むので「自動運転」をしたがります。そのため5秒以上たってしまうと、脳はやらなくていい理由を探し始めてしまうのです。


 どれも組織開発・人材開発、そして自分自身のためにも役立つヒントが満載のセッションでした。

来年度のA T D2022ももう始動しています。参加には、下記の2つの方法があります。

現地参加・バーチャル参加の2択(2021年11月時点)

  • ATD22 Orlando(現地参加):P F Cのラーニングチームに参加して、現地で共に学びます。隔離期間などを鑑み、1月末に決定いたします。 
      ※ツアーではないため、航空便のご手配はご自身でお願いいたします。
  • ATD22 Virtual:現在募集中です。詳しくはお問い合わせください。

atd22については以下のリンクをご参照ください。
ATD 2022 International Conference & EXPO