コラム

2021.12.01(水) コラム

「DX推進:CDOは組織変革をどう推進したか」セミナーレポート<前編>

 2021年10月29日に、PFCとCELM社との共同ウェビナーの第2弾となる「DX推進:CDOは組織変革をどう推進したか」 が開催されました。

 セミナーには定員を大幅に超える150名の方が参加を希望され、半年前に行った第1回セミナーの時と同様、皆さまのDXへの関心の高さが伺えました。と同時に、事前に寄せられた皆さまからの質問やコメントでは、まさに今回のウェビナーで焦点を当てた、DXを推進するにあたっての「組織変革」への課題を抱え日々奮闘しておられる様子が見てとれました。

 本セミナーでは、まずPFC代表取締役の松村卓朗が「DX推進の変革のリーダーシップ」と題するオープニング・スピーチを行いました。

 続いて、現役のCDO2名の方をお招きし、講演をいただきました。三枝幸夫氏(出光興産株式会社 執行役員 CDO/CIO)、ならびに、福士博司氏(味の素株式会社 取締役 代表執行役副社長 CDO)のおふたりです。福士氏は、昨年、CDO Club Japanにより「Japan CDO of The Year 2020」を受賞されたことでも知られています。

 そして、最後は田口 佳子氏(株式会社CELM 執行役員)の司会進行によるQ&Aセッションが行われました。

 ご講演者お二人の話も、そしてQ&Aを通じて語られたお二人の出光興産および味の素での体験も「DXを推進するために鍵となるのは人と組織の変革である」というメッセージは様々な面で通底していました。

 今回の前編では松村卓朗によるオープニング・スピーチの内容をご紹介します。

DXは「D」ではなく「X」に焦点を当てる必要がある

 数か月前に発刊された経産省のDXレポート2では、いまだに日本国内企業の9割が「DX途上」または「DX未着手」にとどまっていると指摘されていました。さらに、その推進にあたっては、素早く変革し続ける能力を身に着けること、そしてITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することがDXの要、と言及されています。

 私は根底にある問題は、多くの人が「DX=デジタル化・IT化」と誤解していることにあるのではないかと考えています。私たちは「D」ではなく、「X」に焦点を当てなければなりません。

 DXとは、デジタルを活用した“ビジネスモデルの変革”ということが本質なので、すべての社員に関係してくるテーマです。従って、DXを推進するには、「プロマネ」(プロジェクト・マネジメント)に加えて、「チェンマネ」(チェンジ・マネジメント)が必要です。そして変革には“マネジメント”ではなく“リーダーシップ”が必要なので、私たちは「チェンマネ」を「変革のリーダーシップ」と言い換えています。

DXにおける5つの変革のステップ

 DX変革のリーダーシップを発揮するにあたっては、コッター教授による著名な「変革における8つの落とし穴」をあらためて意識することが有益です。示唆に富んでいて色あせない考え方です。

 私達も企業の多くの変革をお手伝いする中で、この「変革における8つの落とし穴」の考え方を適用して、皆さんと一緒に様々な施策を考えてきました。また、多くの変革のリーダーの皆さんには、研修等を通じて様々なケースを学んでもらったり、自身が推進する変革に当てはめて考察を深めてもらったりもしました。さらに私達は8この落とし穴を元にして、「5つの変革のステップ」を提唱してきました(1~5:危機意識の醸成から抵抗勢力への対処まで)。

 さらに、DXにおける変革のステップは、現場で起きている課題や成功事例を見ていると、下図のようにアップデートする必要があると考えています。

1)危機だけではなく「機会」に目を向けさせる
2)変革推進チームが主導するのではなく「チームを支援する」
3)ビジョンだけではなく「パーパス」まで考える
4)コミュニケーションは、上からだけではなく「横連携・ミドルアップダウン」
5)抵抗勢力へ対処するだけではなく「漠然とした不安」に対応する

これがDXにおける変革のステップの5つの要旨です。

 味の素様・出光興産様での取り組みの具体論を聞いていただく前に、変革のステップをセオリーとして意識することは、大いに有益と考えお話しました。ご自身の組織でDX変革の成果実現を導く際の参考にしていただきたいと思います。

後編ではQ&Aセッションでの内容を中心にご紹介します。

セミナーの配布資料をご希望の方は、(一部改編の上)お渡しすることができます。ご遠慮なくご連絡ください。

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