クライアント事例

フォスター電機株式会社様

オンラインコンテンツを活用した 成果重視マネジメントの浸透
リモートワークを機に、生産性向上に向けた取り組みに拍車をかける企業が後を絶たない。
「どうする?働かないおじさん 終身雇用崩壊後のサバイバル」
この煽情的な文章は、日経ビジネス3月16日号の特集記事のタイトルだ。日立・トヨタ・味の素といった日本を代表する企業が、メンバーシップ型からジョブ型へ、という掛け声の下「職務(ジョブ)ありき」の採用・配置・評価・処遇を行う人事改革を推進しているという内容だった。業務遂行にあたってのプロセスの把握が困難で、成果を明確にせざるをえないリモートワークの広がりは、生産性向上を目指す変革の追い風となっている。

フォスター電機様(以下敬称略)では、リモートワークを機に、週休3日の導入をはじめとする、生産性向上・成果重視を目指す新たな制度・施策の導入を始められた。折しも突如として本格化したリモートワーク。感染症そしてリモートワークに対応し繁忙を極める職場に対し、制度導入の意図を理解してもらい、行動変容を促さねばならない。期末面談のタイミングも迫ってくる。

そんな中、フォスター電機では、オンラインでの研修実施と学習コンテンツ配信にチャレンジされた。今回はこの取り組みを担当されたフォスター電機(株)人財開発部長 宮岡直樹様にお話を伺った。
※PFCは、管理職向けのオンラインで双方向のセミナーの企画と実施、そして、一般社員向けのオンラインコンテンツ制作を担当した。
インタビュー内容をご紹介する前に、今回の取り組みを概観しよう。

取り組みのポイント、およびチャレンジは以下であった。
1.「生産性向上・成果重視」、「ジョブ型への変革」「リモートワークでパフォーマンスマネジメントがカギである理由」といった、概念レベルの理解をいかに具体的な行動変容につなげるか。
2.多忙を極める職場に対して、いかにタイムリーかつ効率的に働きかけるか?
3.オンラインツールを制度導入や風土改革にどう生かすか?
4.今回の学びを生かし、今後どのように職場フォローを行っていくか?

オンラインの良さを生かした双方向のやり取り

PFC

今回はじめてオンラインでの研修に取り組まれたわけですが、いかがでしたか?

宮岡氏

少人数のオンライン研修や会議は、これまでも実施していましたが、大規模なものは講演形式のものが多かったので、今回のような規模での双方向オンラインセミナーは初めての試みでした。しかし、オンラインの良さを生かしながら双方向のやり取りを交えて行えたこと、ちょうど良いサイズ(1.5時間)のオリジナル・コンテンツで行えたことなどが成功に結び付いたという感触を持っています。

一方的な講義形式では伝わらないことも多いですが、今回は双方向にしたことで効果が上がりました。50名という大人数で実施したにもかかわらず、各々のチャットを参加者全体で共有したりしたことで個々の情報が効率的に共有でき、ホールに集めて実施するよりも密度が濃い部分がありました。やり方次第でうまくいくものなのだとわかりました。

役員の聴講も良い緊張感につながった

PFC

参加者からの反響はいかがでしたか?

宮岡氏

要点がわかりやすかったという反響が多かったです。これまでの、一か所に集まって、一日拘束されて、ワークをやって…という形より単刀直入で参加しやすいという声が多く聞かれました。

役員層が聴講しやすかったのもよかったです。これまでのようなリアルな場での集合研修だと、長時間なこともあって張り付きづらいですが、オンラインですと気軽に聴講することができます。参加者リストに役員層の名前があることで、参加者への良い意味での緊張感にもつながったと思います。また、役員からフィードバックをもらえたのも良かったですね。通常の研修だと、役員層は、資料には目を通しても中身の温度感まではなかなか伝えることができません。

また、今回は「ジョブ型組織にシフトする」というメッセージを発信したわけですが、管理職がどう受け止め、どのような反応をするかがチャットのコメント等を通じて、役員層もリアルに知ることができました。参加者の中には成果マネジメントをこれまでと全く別の仕組みと受止めた人もいたこともあり、誤解を生まないような用語の使い方、人事からのメッセージの発信のし方を再考する参考になったという声も役員から聞かれました。

パフォーマンスマネジメントのタイミングにあわせたプログラム設計

PFC

オンラインコンテンツの効果は?

宮岡氏

今回、管理職にはオンラインワークショップを実施し、一般社員にはオンラインの学習コンテンツを配信しましたが、この一連のプログラムは、これからやることの下地作りとして全部つながっています。先日、上期レビュー・面談のやり方について、方針を発信したところですが、管理職も一般社員も、今回のプログラムで学んだことを実践する動きになるように人事が主導しています。これから全員と面談が始まるので、ワークショップやオンラインコンテンツの成果がさらに表れてくると思います。

PFC

PFCが特にお役に立てた点は?

宮岡氏

われわれのパフォーマンスマネジメントのタイミングに合わせて、われわれのやりたい軸に焦点をあわせてプログラムを設計、実施していただいことが大きいです。焦点がちょっとでもずれてしまうと、いろいろな取り組みが繋がらなくなってしまうので、的確にとらえて設計していただいたのが良かったです。また、タイムリーに短期間に対応してもらえたこともありがたかったです。

一般社員向けのオンライン配信でも、短時間で当社のニーズ、やりたいことに絞ったコンテンツを作っていただいたのがよかったです。既存の汎用コンテンツでは響きにくい面があります。これからも、「あのコンテンツでSMARTモデルを教わりましたよね」「目標設定は明確にできていますか?」等と、コンテンツと連動させながら、しつこくメッセージを出していこうと思っています。

オンラインコンテンツを提案していただいてよかったです。「オンライン研修は一方通行になってしまうのでは?」という先入観が、人事にも受講する管理職側にもありましたが、実際にやってみたら様々なメリットがあり、皆がオンライン研修に対してポジティブになりました。

管理職が研修を受けて、学習したことを評価面談で実践する。今回、うまくプログラムを設計していただいたこともあり、人事がしっかり関与してこのサイクルが回せる実感が得られました。

「オンライン化によって、これまでとは違う材料が手元に残せました。これから評価の時期を迎え、今回の研修の意味が実感されていくと思います。」といううれしいコメントも頂いた。

このプログラムを担当したPFC取締役の山田奈緒子は、下記のように振り返っている。

時期を捉えたタイムリーな全社啓発にはオンラインが最適

オンラインコンテンツは、国内・グローバル一斉に実施(配信)できます。ロケーションにかかわらず、管理職としての共通認識醸成がスピーディに図れるのは大きなメリットがあるのです。

バーチャルでの集合研修は、参加者が大人数でも、プログラムをうまく設計すれば、短時間で有益な意見交換、共通認識醸成が可能になります。記録も大きな財産。

経営層の参加やオブザーブがしやすく、全体感、現場の声を、チャットのコメント等からリアルに知ることができるというメリットもあります。
対象層に応じて、プログラムの提供方法を変えることで、効率的、効果的に取り組みを
すすめることができます。今回の例でいえば、共通認識醸成が必要な管理職にはバーチャル集合研修、一般社員には好きな時に学習できるオンラインコンテンツを提供するといった具合です。

企画・開発プロセスにおいても、オンラインの特長を活かし、プログラムのアウトプット案をもって、短い時間のミーティングを数回実施。スピード感をもってアジャイルにプログラム開発を行い、研修担当者の皆様ともバーチャルコミュニケーションを通じたパートナーシップを結ぶことができました。