Web版 組織開発ハンドブック

組織開発

日本で働く外国人エグゼクティブのために~いま人事が知っておきたい「エグゼクティブコーチの選び方」

外国人エグゼクティブに最大限に力を発揮してもらうために

グローバル化が進む今、日本で働く外国人エグゼクティブを支援するために、
「エグゼクティブコーチング(Executive Coaching)」を導入する企業が増えています。

多文化チームのマネジメント、意思決定のスピード感、組織文化の違い——。
こうした課題を前に、外国人リーダーが真に力を発揮するためには、言語以上に「文化を理解する力」が欠かせません。

外国人エグゼクティブが日本で直面するリアル

人事担当者がまず理解しておくべきは、外国人リーダーが日々感じている戸惑いや壁です。

> 「日本人チームは優秀だけど、なかなか意見を言ってくれない」
> 「Yesと言われても、本当に賛成しているのか分からない」
> 「意思決定に時間がかかりすぎる」

こうした“日本特有の現象”の背景には、「和を乱さない」「全員の合意を大切にする」「失敗を避ける」など、長年培われた文化的価値観があります。

この文脈を理解しないままマネジメントを進めると、チームの信頼を損ねたり、孤立してしまうリスクが高まります。

一方、日本側のメンバーも「外国人エグゼクティブのスピード感や主張に合わせられない」と感じることがあります。

この“見えないギャップ”を橋渡しするのが、グローバル対応型エグゼクティブコーチの役割です。

人事が担う「文化の通訳者」としての視点

コーチングの効果は、コーチだけに任せられるものではありません。人事が「どのように設計し、どんなコーチを選ぶか」で結果は大きく変わります。


特に外国人エグゼクティブの支援では、人事自身が「文化の通訳者(Cultural Translator)」として機能することが求められます。


つまり、外国人リーダーが日本組織で成果を出しやすいように支援するだけでなく、日本側のマネジャーやメンバーにも「異文化のリーダーと働く理解」を促す。この両方向の理解を支えるための最も有効なツールが、エグゼクティブコーチングなのです。

外国人エグゼクティブ向けコーチを選ぶ4つの視点

1. バイリンガルよりも「バイカルチュラル」であること


英語が話せるだけでは不十分です。
日本とグローバル、両方の文化や働き方を深く理解し、組織の中で生じる摩擦を整理できるコーチを選びましょう。
日系企業や日本でのマネジメント経験を持つコーチは、より現実的な支援が可能です。


2. ビジネスの現場感覚を持っていること
エグゼクティブコーチングは理論ではなく実践の支援です。
経営・組織変革・リーダーシップ開発など、実際のビジネス現場を理解しているコーチほど、会話が具体的で成果につながります。


3. プロセスが構造化されていること
初期インタビュー、目標設定、定期セッション、振り返り、レポートまで、一貫したプロセスを持つかどうかを確認します。
人事としても進捗や成果を追える体制があると理想的です。


4. 組織全体への波及を意識していること
個人の行動変容にとどまらず、チームや組織の関係性改善まで視野に入れた設計ができるかを確認しましょう。エグゼクティブの変化が組織文化に広がる仕組みを持つコーチは、長期的な効果をもたらします。

コーチング導入を成功させる人事の関わり方

成果を左右するのは、導入後よりも導入前。成功している企業では、人事が初期設計から伴走しています。


* 対象者の課題と組織課題を整理し、目的を明確にする
* コーチ・上司・本人の三者で合意形成を行う
* セッションの進捗や学びを定期的に確認する
* 終了時に成果を振り返り、次の育成施策につなげる


人事が“設計者”として関与することで、コーチングは単なる個人支援ではなく、戦略的な人材開発施策として機能します。

人事とコーチの共創が、リーダーの成功をつくる

外国人エグゼクティブの活躍は、企業のグローバル化を加速させる原動力です。しかし、文化や価値観の違いを放置すれば、せっかくのリーダーも十分に力を発揮できません。


人事が適切なコーチを選び、現場と経営をつなぐ設計を行うことで、外国人リーダーは“異文化の挑戦者”から“組織をつなぐ架け橋”へと変わります。


そして、日本で働く外国人エグゼクティブに向けたコーチングは、「英語が話せる」だけではなく、文化・組織・人の変化を同時にデザインできる専門家が求められます。


30年以上にわたる実績をもつピープルフォーカス・コンサルティングはのエグゼクティブコーチ陣は、グローバルと日本文化の両方を深く理解し、人事・上司・本人をつなぐ三者連携の仕組みを通じて、「個人の成長」と「組織の変化」を両立させる支援に定評があります。