コラム
2026.09.29(火) コラム
■【記事】なぜ優秀な海外メンバーほど辞めてしまうのか?~グローバル・コラボレーションがうまくいかない本当の理由
「世界中から優秀な人材を採用したのに、なぜかチームがひとつにならない」

これは、多くの企業のグローバル化の現場で起きていることです。
海外売上比率が高まり、クロスボーダーM&Aも増え続ける中、日本企業にとって国境を越えた協働は避けて通れない経営課題になっています。
実際、2025年の日本企業による海外M&A総額は385億ドルにのぼり、前年比で+90%という急拡大を見せています。その一方で、日本企業の海外案件の約25%が減損処理に至っており、これは米国企業の約5倍の水準です。多くの大手企業が、すでに売上の半分以上を海外で生み出しているにもかかわらず、実行段階でのグローバル・コラボレーションが、大きな課題となっています。
「優秀な人を採用したのに定着しない」
創業当初から多くのグローバル企業に関わってきたPFCは、グローバルに展開する日本企業からさまざまな相談を受けますが、たとえば最近ではこのような課題がありました。
「熟練したエンジニアを日本から派遣したが、現地チームがプロセスに従わず、成果が出なかった」(大手製造業)
「世界中で優秀なエンジニアを採用したが、その多くが2年以内に離職してしまった」(大手電機会社)
「技術力は優れているが、グローバルなガイドライン策定やパートナーとの協議の場で、現地が力を発揮できてない」(大手医薬品)
これらの課題を解決するためには、異文化コミュニケーション、ファシリテーション、プレゼンテーション力、アサーティブネススキル、WinWinコミュニケーションスキルなど様々な知識やスキルが必要となりますが、その前にまずグローバルコラボレーションとは何か、なぜそれが難しいのかについて考えていきましょう。
グローバル・コラボレーションとは何か
国・文化・拠点を越えた人々が、文化的・構造的・物理的な違いを乗り越えながら、ひとつのチームとして共通目標を達成する力
です。
ここにある文化的・構造的・物理的について詳しく見ていきましょう。
1. 文化的複雑性
人は国や文化によって仕事の進め方が異なります。
例えば日本では、
- 空気を読む
- 行間を理解する
- 合意形成を重視する
ことが求められます。
一方で欧米をはじめ、北アジアや南アジアを含むさまざまな文化圏では
- 自分の意見を明確に主張する
- 根拠を示す
- 議論によって意思決定する
ことが期待されます。
どちらが正しいという話ではありません。
しかし、お互いが無意識のうちに自分の常識を前提にしているため、誤解や摩擦が生まれます。
2. 構造的複雑性
文化よりも難しいのが、組織そのものの構造です。
例えば、
- 意思決定権限が曖昧
- 本社と現地法人の役割が不明確
- 現地に権限が委譲されていない
といった状況です。
特に日本企業では、「現地に任せる」と言いながら、「最終決定は本社」になっているケースも少なくありません。
海外拠点から見ると、自分たちが信頼されていないように感じられます。
こうした状況が、いわゆる「ガラスの天井」や「Rice Paper Ceiling」と呼ばれる問題につながります。
3. 物理的・地理的複雑性
さらに近年は、
- リモートワーク
- ハイブリッド勤務
- 複数タイムゾーン
- グローバルプロジェクト
が当たり前になりました。
朝7時に参加している人もいれば、夜10時に参加している人もいる。
対面なら自然に解決できたことが、オンラインでは伝わらない。
距離そのものがチーム運営の難易度を高めています。
どんなに優秀な人材が集まっていても、この3つがそろわなければチームは機能しません。グローバルコラボレーションがうまくいかないと、多くの人は「英語力の問題」と考えがちですが、実際にはもっと複雑なのです。
グローバル・コラボレーションを機能させるスキルとは?
グローバル・コラボレーションは、精神論ではありません。必要なスキルがあります。
基礎スキル:発言する・理解される
異文化間コミュニケーション — 文化の違いを理解し、自分のスタイルを調整する力。
アサーティブネス — 相手との関係を維持しながら、自分の意見を明確に伝える力。難しい対話でも率直さを保つ「Conversational Capacity®」も、この延長線上にある手法です。
Win-Winコミュニケーション — 対立を避けるのではなく、双方が納得できる解決策を見つける力。
実践スキル:会議を主導する・聴衆に働きかける
ファシリテーション — 多様な意見を引き出し、意思決定につなげる力。
プレゼンテーション — グローバルな聴衆に対して、説得力をもって伝える力。
リーダーシップ:自分を導く・他者を導く・チームを導く
状況や相手に応じて、自分やチームを導く力です。相手の成熟度に応じてスタイルを変える「SLII®」、分散環境でも主体性を発揮する「セルフ・リーダーシップ」、地域を越えて一体感のあるチームを築く「チーム・リーダーシップ」など、具体的な手法があります。
PFCのグローバル・コンサルタントにご相談ください。
文化、組織、そして働く環境の違いが複雑に絡み合うことで、優秀な人材同士であっても協働は難しくなります。
だからこそ必要なのは、単なる語学研修ではなく、国境や文化の違いを越えて成果を生み出すためのコミュニケーションやリーダーシップのスキルです。
自社の課題を正しく理解し、必要なスキルを計画的に強化していくことこそが、真のグローバル・コラボレーションへの第一となります。
PFCは、グローバルに事業を展開する企業に対し、異文化間コミュニケーション、アサーティブネス、ファシリテーションといった基礎スキルから、Blanchard社のリーダーシッププログラム(SLII®など)まで、グローバル・コラボレーション強化のための研修・コンサルティングを提供しています。
記事をお読みになって、自社の状況に近いと感じた方は、ぜひ一度PFCまでお気軽にご相談ください。グローバルチームを手掛けてきたバイリンガルのコンサルタントが、チームの現状に合わせた具体的な進め方について、お話しさせていただきます。
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ジェーン・チェン (Jane Chen)
ピープルフォーカス・コンサルティング
シニア・コンサルタント
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