コラム

2024.01.10(水) コラム

GAIAリーダープログラム:現地のビジネスリーダーとの対話を通じて、カンボジアの産業人材の育成と貧困の削減に取り組む

 現在開催中のPFCのフラッグシッププログラム、GAIA(旧GIA)リーダー・プログラム。今年で14年目となる本プログラムは、大手企業や非営利団体(NPO/NGO)から派遣された次世代リーダーの皆さんを中心に、参加者は累積100名を超えています。


※GAIAリーダープログラムは途上国での“越境”体験学習を軸にしたリーダー育成プログラムです。

2023年は9月にスタート

 毎年夏から秋にかけて開講し、ほぼ半年をかけて行うこのプログラム。現在は、インプットが中心となるフェーズ1が終わり、カンボジアを舞台にして「ビジネスを通じた社会課題の解決」を体験するフェーズ2が行われています。他社/他団体メンバーやカンボジア人メンバーとオンラインで協働しながら、現地の課題を把握し、自社・自組織ならではの貢献を考えるフェーズ2はどのように進んでいるのでしょうか。その様子をいくつかお伝えしたいと思います。

カンボジアのビジネスリーダーとの対話

 カンボジアのビジネスリーダーの方たちとの対話は11月16日に行われました。一人目のチア・ノル(Chea Nol)氏は,ポル・ポト政権下でカンボジアから逃れ、日本で難民として受け入れられ、14 年間にわたって日本に滞在。大学卒業後、祖国カンボジアに戻り,様々な活動を経て、現在はバイヨン高校/付属中学校の創始者・理事長。自らの敷地を無償提供して学校を作るなど、GAIAリーダーを実践している方でした。

 ノル氏からは、子供の頃には虫も殺せなかったと言われるポル・ポトに関する歴史的な考察から、理由もなく父親と兄が連れ去られ、母親とも離れ離れになり13歳で単身日本へ難民として渡った後、いじめなども受けながら、その中でも多くの人に助けられたお話。そして、日本国政府によるアンコールワットの遺跡修復事業への従事をきっかけに祖国に戻り、今度は学校を自ら立ち上げるまでの壮大なリーダーシップストーリーなど、ネットや本だけでは得ることのできない、GAIAプログラムならではの当事者の視点からの貴重なお話を聞くことができました。

「課題解決にまい進する姿に勇気をもらった」

 受講者のみなさんからは以下のような感想が挙げられました。

・直接お話をきいたことで過去から今につながっている部分が一番勉強になった
・なぜそんなことになってしまったのか、知らなかった部分を知ることができた
・ポル・ポト時代の話が衝撃的でもありつつ、課題解決にまい進する姿に勇気をもらった。

 ノル氏との対話においては、特にスマートフォンやITを活用したノル氏の学校の先進的な取り組みについて関心が多く寄せられ、日本より進んでいると感じた受講生の方も多くいたようです。ノア氏がどのように校長先生のリーダーシップを促したり、効果的に支援者を巻き込んだりしたか等、GAIAリーダーとして学ぶべきポイントも聞くことができました。また、インフラ整備や産業発展の基盤となる理数系の教員が足りていないという現状も対話を通じて知ることができました。フェーズ2で各自が取り組む社会課題についてのリアルな現状や解決策を探るためのきっかけやヒントを得るセッションとなりました。

「オーセンティックリーダー」を目の当たりに

 二人目はNPO法人SALASUSUの代表で長年カンボジアの教育課題に取り組んできた青木健太氏。2002年、19歳の時に認定NPO法人かものはしプロジェクトを2人の仲間と共に創業し、カンボジアやインドの児童買春の撲滅に注力。2018年からはSALASUSUとして、カンボジアの貧困女性の雇用創出のために、雑貨の生産・販売と共に工房でライフスキル教育を実施されています。
※青木氏のこれまでの取り組みについてはこちらの記事もご参照ください。

【講演録】「ものづくりを通じたひとづくり~世界の人々がライフスキルを身に着けるまで」青木健太(NPO法人SALASUSU 共同代表) (第11回GEI有志会) | PFC (peoplefocusconsulting.com)

 青木氏からは、特に創業から独立、現地での実践の過程の中で、青木氏自身がリーダーとして課題をどのように乗り越えていったかというリーダーシップジャーニーについて赤裸々にお話しいただき、これは受講者の皆さんにとっても大変刺激になったようです。フェーズ1のDay 5(10月28日実施)では、「GAIAの“A”=Authentic(自分自身の価値観や使命を見出し、人間力を高める)」について学習しましたが、今回の青木氏のセッションはワークショップ形式で、受講者自身も人生曲線をもとに、リーダーシップの源泉となるような価値観やルーツとなる出来事をさらに深く内省する良い機会となりました。

 また、青木氏の体験に基づいた、ラディカル(徹底的に)セルフケア(人と共に自分をケアをする)のセッションでの「自分を大切にし、良い変化をしていくことが、社会を大切にすることや社会変革につながっていく」というお話は、現場で日々活躍し、忙しい次世代リーダーである受講者の方々が共感できる部分も多く、社会課題に取り組むために必要なセルフ・マネジメントについても参考になっていたようです。

「自分は何によって火がつくのか?」

 受講者のみなさんからは以下のような声が聞かれました。

・自分自身のエネルギーの収支を考えるきっかけになった。
・今までは、周囲との議論で合理的に結論を出すことに時間を割いてきた。対話と議論の違い、対話をすること=一緒に旅をするような感覚というところが印象に残った。
・自分は何によって火がつくのか、力の源泉がどこにあるのか、まだ、今も探しているところ。自分の中で何が大事だろうという点を、自分の中で深堀りしていきたい。

カンボジアの産業人材の育成と貧困の削減に取り組む

 11月17日には「産業人材育成」「貧困削減」をめざすふたつのグループに分かれて、SALASUSUのカンボジア人スタッフとも合同でキックオフミーティングを行いました。まさに国や組織を超えた「越境学習」の実践となる部分です。

 ひとつめの「産業人材育成」は、産業の発展が課題となっているカンボジアに於いて、中国からの人材が戦力となりがちでしたが、国内のカンボジア人材の育成が課題としてあげられていることが背景にあります。ふたつめの「貧困の削減」については、就学率の低さも相まって、貧困率がなかなか下がらないという現状があります。

 協働プロジェクトの実施には事前にプロジェクト・チャーターを英語で作成し、背景(問題意識)・目的・スコープ・ステークホルダー、リスク・懸念・コスト、ステップ/スケジュールなどをまとめ、カンボジアメンバーにも共有しました。12月以降の取り組みの指針となります。みなさんのプロジェクトがどのように結実していくのか、どうぞお楽しみに!


過去の参加者の方の声を動画にまとめています。是非ご覧ください!

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