コラム
2025.10.30(木) コラム
ダイバーシティの次は“文化的包摂”──CDI認証に見る実践の最前線
株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング(以下「PFC」)は、2025年10月23日(木)に、認定特定非営利活動法人 Living in Peace(以下「LIP」)が認証を行うCultural Diversity Index(以下「CDI」)の認証書授与式において、昨年引き続き「Gold」ランクに認証されたことをお知らせします。

「Cultural Diversity Index」について
「Cultural Diversity Index」は、⾔語や⽂化的背景によらず、すべての⼈が共に活躍できる職場環境を作るための「組織における⽂化的多様性の包摂に向けた取り組みを評価する指標」です。この指標を用いて、外国人材(難民・避難民を含む、海外からの移住背景を持つ人々)も日本人も共に働きやすい組織・職場環境を認証するのがCDI認証です。
CDI認証では、39の項目・72満点で組織の取り組みを審査し、採点結果に応じて、5つのランク(プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、グリーン)に認証されます。高得点を獲得するには「行動宣言、社外訴求、採用・インターン、職場環境、組織文化・風土醸成、社会貢献活動、改善プロセス」という6つの観点の全てにおいて、活動をしていることが条件になります。

Cultural Diversity Index:https://culturaldiversityindex.org/
認証授与式~海外人材の受け入れから活かすステップへ~
当日の授与式では新たにデロイトトーマツグループ合同会社や株式会社大林組などが加わり計22社の企業が授与されました。また、それ以外にもベストプラクティス賞を授与された企業の取り組み紹介や、先進的な企業の工夫や苦労を共有するトークセッションも行われ、担当者として刺激をもらう機会となりました。特に外国人人材の受け入れにとどまらず活かすことに挑戦しているという点で印象に残った企業2社の取り組みと事例を以下に共有したいとします。
・パーソルキャリア株式会社
【事例:外国人人材が社内表彰制度において大賞受賞】
パーソルキャリア社では数年前より外国人人材の職場への受け入れを開始し、社内文書が日本語だけだった状態から、全社総会などの重要な資料は複数言語に翻訳する活動を行い、外国人が働きやすい環境づくりを進められていました。このような取り組みの結果、人材が定着し、ある中国人の社員は社内プロジェクトに自ら手を挙げて参加し、その成果が社内のベストプラクティスを受賞して、事業にも良い影響を与えているそうです。
外国人を採用する際にすぐに成果を上げることに目が向きがちですが、外国人社員が働きやすい風土づくりを行うと、組織が活性化し、それが成果の向上やイノベーションに繋がる、という実体験を含めた説明は非常に説得力のあるものでした。(図1)

・株式会社グローバルトラストネットワークス(GTN)
【取り組み:相互に学びあうプロセスを重視したマイクロアグレッション研修の導入】
明治大学と連携し、一般的なアンコンシャスバイアス研修に留まらず、多国籍な職場環境におけるマイクロアグレッション※に焦点を当てた研修を導入。日本人・外国籍社員が混成チームで互いの視点を共有し、相互理解を深める好事例として認定されました。アンコンシャスバイアスという考え自体はかなり一般的になりましたが、バイアスを認識した上でより積極的に違いについて学び研修というのは、違いを活かす方向に前進させる意義ある取り組みだと私は気づきがありました。
※マイクロアグレッション:悪意はないものの、相手を傷つけたり、不快にさせたりする無意識の言動
CDI認証を通じて築く新しい文化
一般社団法人Cultural Diversity 推進協会の代表理事である龔軼群(キョウ イグン)さんは冒頭の挨拶で「これまで外国人留学生の就職支援や外国人社員の悩み相談をしてきた中で、どうにもしてあげられなかった苦しい経験をしてきた。だからこそCDI認証を通して現状を少しずつでも変えていきたい」と切実な思いで話されていました。
労働人口の減少から、採用担当者は在日の外国人の方々を働き手として期待している一方、現場からは日本語が話せて日本文化を理解してくれる人に働いてほしい、という声がよく聞かれます。
どちらかが一方的に合わせるのではなく、それぞれの違いを認めて共生できるよう、考え方を融合させた新たな文化が求められる時代が来ていると感じます。一朝一夕にできることではありませんが、その変化を後押しできるよう、PFCとしても新たな取り組みを考えていきます。
関連プログラム・サービス
グローバル・リーダーシップ研修
インクルーシブ・リーダーシップ研修
Working and Communicating Effectively in Japan~日本で働く外国人の皆さんのためのプログラム
千葉 達也(ちば たつや)
株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング
サステナビリティ事業推進室長
