コラム
2023.04.18(火) コラム
エグゼクティブ・チームビルディングのすすめ~経営陣をチームとして進化させる秘訣
経営チームは成長していますか?
御社の経営陣は、経営会議で闊達な議論を展開しているでしょうか?難しい経営判断を行うに足る、高い視座そして、あらゆるステークホルダーを見渡す広い視野をもって、経営陣全員の知力を尽くした深い議論ができているでしょうか。経営陣同士は助け合い、補い合い、学びあいながら、自社の将来像をとことん議論した勇気ある決断を行っているでしょうか。
コロナ禍以降、外資系や新興系企業、新規ビジネスを担う事業部等で、経営層向けのチームビルディング、つまり経営陣が効果的なチームになるためのワークショップの相談が増えています。コロナ禍も4年目。オンライン会議やオンライン・コミュニケーションが主流になって久しく、経営陣の顔ぶれが変わると速やかに関係構築せねばなりません。そしてそもそも、ファシリテーションのPFCからすれば、経営会議は組織内で最も難易度の高い会議。会議アジェンダの設定や討議プロセスの準備は経営企画が行う一方で、経営チームの成長については、同席した人事の方々がやきもきされているようです。
「どうも議論がかみ合ってない」
「使用言語が英語だからか、議論が表層的になりがち」
「堂々巡りがクセになってしまって、論点が定まらない時間が長い」
難しい議題ではあるものの、社員のロールモデルであるべき経営チームに非生産的な会議体質が染みついてしまうことは避けたいものです。エグゼクティブ・チームも、その他のあらゆるチーム同様、チームとして成長しなければなりません。
経営チームを戦略的に進化させる
PFCでは、チームビルディング・ワークショップやエグゼクティブ・コーチングを通じて、経営チームの成長支援を行ってきました。難しい課題に取り組む経営チームだからこそ、経営陣の信頼関係を組織力に変えるための戦略的なチーム開発が必要です。
Stage 1 経営チームとしての信頼関係の基盤を作る
Stage 2 チームの課題をあぶり出す
Stage 3 経営陣全員が行動改善し、継続的なチームの進化にコミットする
Stage 1 経営チームとしての信頼関係の基盤を作る
第一段階としてまず取り組むべきことは、多くのチーム同様、信頼関係の基盤作りです。新しいトップが着任した、メンバーが入れ替わった、といった局面で、本音で話し合える関係を早期に築くために、経営者としての人となりを知り合う効果的な場を創出することです。
PFCではこのステージの経営チームに対して、リーダー・アシミュレーション(リーダーとメンバーの対話)セッションを実施してきました。リーダー・アシミュレーションは昨今、外資のみならず日系企業でも一般的になりました。そして、一昔前に比べて昨今の経営トップは非常に上手かつ自然体でメンバーと対話されるようになったと実感します。また、経営陣一人一人と定期的に1on1を実施し、関係作りをたいへん重視する経営トップが増えています。 トップとメンバー1対1の関係が盤石にできている経営チームでは、チーム全体の関係基盤強化に目を向けて、性格や価値観の特徴があぶりだされるMBTIのような心理ツールの活用が効果的です。性格タイプの観点から、なぜ議論がかみ合わないのか?といった会議の傾向を客観視できるからです。経営チームが個々人の違いを活用して、よりインクルーシブなチームになるための絶好のトレーニングの機会も提供できます。
Stage 2 チームの課題をあぶり出す
経営チームに信頼関係の土台ができたら、チームが成長するための課題に向き合ってもらいましょう。ここでの落とし穴は、当然のことながら経営陣がコミュニケーションや対人スキルの高い人たちの集まりだということです。気持ちの良い対人コミュニケーションや表面的な連帯に安住して、チームとしての課題に気づきにくい、あるいは敢えて目を向けようとしない状況があるかもしれません。
忙しい経営陣に自チームの効果性に目を向けていただくために、PFCでは「経営チーム効果性アンケート」を使っています。経営チームとしての効果性を問う設問の一部をご紹介します。
- このチームは、自組織の存在価値やビジョンの実現に全員が納得しコミットしている
- このチームは、意見の相違や対立から、創造的な解決策を生み出している
- このチームにいると自分は経営者として成長できる
回答結果レポートを見ることで、経営陣各人のチーム認識を可視化することができます。定性コメントや改善アイデアも記入いただきますので、課題があるからこそ進化する、レジリエントなチームになるよう経営陣を誘うことができます。
Stage 3 経営陣全員が行動改善し、継続的なチームの進化にコミットする
チームビルディングでは、チームのグラウンド・ルールや行動規範をワークショップのアウトプットとして策定することが定石です。しかしながら、複雑な経営組織においてアジャイルに進化するためには、全員が課題を把握して、それぞれが行動変容することでチームを有機的に進化させる方法も効果的です。
ある経営チームでは、自分たちの話し合いの課題に気づいた後、経営会議のファシリテーションを経営陣が自ら、交代で行うことになりました。発言や質問において、皆がファシリテイティブにかかわることでチームを進化させようというコミットメントに至ったのです。
経営チーム進化のレバーを握るのは人事トップ
経営チームに関するご相談や支援事例を通じて、エグゼクティブ・チームを成長に誘うレバーは人事トップが握っていると実感します。進化する経営チームの人事トップは本稿に書いたチーム開発の視点を持ち、そして次のような行動をとっています。
- 経営チームが居心地よい「ぬるま湯」の連帯に安住していたら、警鐘を鳴らす
- 時に組織の少数派や過小評価グループの立場に立ち、チームに苦言を呈する
- トップが経営陣のロールモデルとして、さらに魅力的なリーダーになるためのメンターになる
トップの自己開示と自己変容へのコミットメントほど、他の経営メンバーの心を打つものはありません。人事トップがよきメンターであればこそ、トップは勇気をもってワークショップの場で自分をさらけ出すことができます。
さあ、自社の経営チームを、さらに素晴らしいチームへと進化させましょう!
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【この記事を書いた人】
山田奈緒子
PFC取締役
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