Web版 組織開発ハンドブック
善い企業の条件
利益を追求するだけの企業はもう古い?これからの「善い企業」の条件とは
B Corpという世界的潮流を、日本企業の文脈で読み解く一冊
人的資本経営、サステナビリティ開示、ESG投資、DEI、サプライチェーンにおける人権対応など、
企業経営を取り巻くテーマはここ数年で大きく広がっています。
そんな中、多くの経営者から聞かれるのは「個別対応ではなく、全体を貫く軸がほしい」という声です。
本書『これからの「善い企業」の条件』は、その軸の一つとして注目される「B Corp」という国際的枠組みに光を当てた一冊です。日本企業の経営実践と結びつけながら、その考え方を体系的に整理しています。
「善い企業とは」
堀内勉氏(多摩大学サステナビリティ経営研究所所長)は、本書の序文をこのように始めています。
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「善い企業の条件」とは何でしょうか。価値観がこれほど多様化した現代において、万人が納得できる「善い」を定義することは、決して容易ではありません。その難題に挑んだのが、本書『これからの「善い企業」の条件』です。
昭和の時代、「仕事」という言葉には、「仕事だから」と言えばすべてが許されてしまうような、有無を言わせない、どこか絶対的な響きがありました。
その背後には、絶対的な存在としての「会社」がありました。会社がサラリーマンに給料を払い、サラリーマンが妻子を養う│こうした家父長制的な構造の中では、「善い企業」の条件が何かは明らかでした。大きな会社、儲かる会社、給料のよい会社、伝統のある会社ーー。
企業の序列もまたはっきりしていました。 かつて王侯貴族を上流階級とする身分制社会の時代には、労働は下層階級が担う苦役であり、ある意味で蔑みの対象でもありました。それが、プロテスタンティズム的倫理や朱子学的思想の登場を背景に、「労働=神聖」という発想へのコペルニクス的転回が起こりました。
そして現代では、仕事は人間の実存の問題となり、仕事を通した社会参加は自己実現や自尊心形成に深く関わる、特別な意味を持つものとなっています。社会学者のデヴィッド・グレーバーは、これを「現代人の潜在意識の奥底に組み込まれた暴力」と言っているほどです。
これに加えて、冷戦期に資本主義と共産主義が対立する中で、資本主義の優位性を示すことが政治的要請になりました。資本主義こそがより豊かな社会を実現する体制であることを証明しなければならなかったのです。 そうした経緯から、ミルトン・フリードマンら自由主義経済学者が唱える「シェアホルダー(株主)資本主義」が、一定の説得力を持って語られたのです。
しかしながら、今の時代に「私の人生の目的は金を儲けることだけだ」と言う人がいたら、私たちはどこか釈然としないと思います。同様に、「自分たちの目的は利益の最大化だけであり、株主に報いることが唯一の存在理由だ」と言い切る企業に対しても、多くの人々は違和感を抱くのではないでしょうか。
「仕事だから」で許された時代が終わった今、「会社だから」で許されるわけもありません。個人にせよ法人にせよ、私たちは社会の中で生きる存在であり、それは国家でも世界でも変わりません。このように考えれば、
21世紀に登場した「マルチステークホルダー資本主義」という概念は、むしろ原点への当然の回帰だと言えます。
地球に無限のフロンティアがあった時代には、誰かに自分のツケを押しつければ済んだかもしれません。しかし、今日では、海洋・大気汚染にせよ、地球温暖化にせよ、外部不経済として押しつけたものは必ず自分に返ってきます。資本主義という全世界化した経済システムから逃れられない以上、「すべてのステークホルダーに配慮する必要がある」という当たり前の事実に、企業もようやく気づき始めたのです......(続く)
ーーーーーー引用以上
経営のど真ん中に社会性を据えるために、何を問い、何を実践するか
本書『これからの「善い企業」の条件〜ビジネスの力で社会を変えるB Corptm経営への挑戦(プレジデント社)』は、長年にわたり「ビジネスの力で社会を変える」ことを探求してきた私たちピープルフォーカスコンサルティングの、現時点での集大成としての一冊です。創業者である黒田由貴子がハーバード・ビジネス・スクール在籍時に抱いた「ビジネスは社会課題の解決にもっと貢献できるのではないか」という問い。30年以上前のこの問題意識から始まり、その後の起業、組織開発の実践、そしてB Corp認証取得へと至る歩みが、本書の背景にあります 。
本書は、理想論を語る本ではありません。「きれいごと」としての社会貢献ではなく、経営のど真ん中に社会性を据えるとはどういうことか。そのために、何を問い直し、何を実践するのかを、具体的に示しています。
いま、サステナビリティやパーパスが当たり前に語られる時代だからこそ、「本当に善い企業とは何か」をあらためて自分の言葉で考えたい経営者やリーダーに読んでほしい一冊です。世の中の流れに追いつくためではなく、自社の軸を問い直すために。
ビジネスを、より良い世界をつくる力にしたいと本気で考える人にこそ、手に取っていただきたいと思います。
発売は2026年3月17日。現在アマゾン 等で販売中です。
