Web版 組織開発ハンドブック

2022.04.06(水)組織開発

アセスメント・センター

2018年開催のATD(Association for Talent Development)-ICE(International Conference & Exposition)のタレントディベロップメントの潮流について、キーワードをご紹介しながら考察する。

アセスメント・センターとは

 専門の評価者(アセッサー)を使って、個々の人材の評価を集中的に行う手法。アセスメントセンター方式とも呼ばれる。企業が社内で実施する場合と、社外の専門のアセスメント・センターに対象者を送り込む場合がある。 管理職層の昇進昇格時、または中途採用における審査の一貫として用いられることが一般的である。

 元々、アセスメント・センターは軍隊において、プレッシャーのかかる状態でも適切に行動できる人材を見極めるために考案されたと言われる。 さらに、1950年代に米国AT&T社でのダグラス・W・ブレイ博士らによる管理者成長研究(MPS:マネジメント・プログレス・スタディ)が基礎となり、その後、同氏とバイアム博士らによってアセスメントセンター専門会社が創設された。

今後のタレント・ディベロップメントの流れに大きな変化が起きるものと感じました。

アセスメント・センターのメリット

 組織では人材の評価は、上長が日常的に部下を観察しながら行うのが普通である。なぜ、わざわざアセスメント・センターを行う必要があるのだろうか? 通常の人事考課とアセスメント・センターの大きな違いとしては、前者は現在の職について評価するものであり、後者は今後の仕事やポジションに関する資質について評価するものだということだ。また、通常の人事考課では評価者である上長らの評価基準にばらつきがあったり、客観性に欠けたりすることがある一方、アセスメント・センターであれば、より客観的で公平な審査ができる。

アセスメント・センターの具体的方法論

アセスメント・センターで行われる方法論には下図のとおり様々であるが、次のことを念頭に方法論を設計する必要がある。
・対象者を多角的に評価できること
・対象者に求めるコンピテンシー(対象者が将来遭遇するであろう職務場面で発揮すべき行動特性)を明らかにし、それが試されるような演習を選択すること
・事前と事後にアセッサー同士で評価の目線合わせをしっかりと行うこと

※※画像挿入したい※※

アセスメント・センターのデメリットと推奨される活用法

 アセスメント・センター方式は、公平性や客観性の面で優れる一方、費用や時間を要するといったデメリットも指摘されている。また、ビジネスを取り巻く環境がより複雑になり、変化がより早くなっている昨今において、アセスメント・センターで行われるような方式で、果たして本当に人材の評価が可能なのかと、その効果性に懐疑的な声も少なくない。

 このような見方も踏まえ、PFCでは、アセスメント・センターを評価の目的のみならず、能力開発を目的に用いることを提唱している。そのためには、アセッサーがアセスメント結果を対象者に丁寧にフィードバックし、対象者が自分を客観視することを支援することが重要になってくる。そうして得られた当事者自身の気づきをもとに、自身の意識や行動をどう変容させるべきか、どのような新たな知識やスキルを身につける必要があるかを主体的に考察することをコーチングする。したがって、PFCの場合、アセッサーはコーチの役割も兼ねている。