コラム
2026.04.24(金) コラム
■ 【記事】なぜ優秀なチームほど、プレゼンがうまくいかないのか?成果を出すプレゼンの組み立て方とは

チームは優秀で、テーマについても十分に理解している。にもかかわらず、プレゼンテーションがどうしても響かない。 その原因は、話し手の緊張や話し方の問題ではありません。考えが整理される前に、スライド作りを始めてしまうことにあります。
多くの場合、話し手は、PowerPointを開く前に、ある基本的に自分に投げかけていません。 それは、「聞き手がこの場を離れるとき、何を一つ持ち帰ってもらう必要があるのか」という問いです。 その代わりに多くの人は、自分がそのテーマについて知っていることから話を組み立ててしまうのです。 結果として、プレゼンは「話し手の知識」を軸に構成され、「聞き手のニーズ」を無視して設計されてしまいます。そのため、聞き手は自分で要点を探し出さなければならず、結局、話し手が何を伝えたかったのかは曖昧なまま終わってしまいがちです。
そして、私が支援しているような、異文化・多言語の環境で、地域本社やグローバルリーダーに向けて頻繁にプレゼンが行われるような組織では、この「構造の弱さ」がより大きなコストになります。 言語や前提の違いがあるほど、小さなわかりにくさが増幅されます。聞き手は内容を追うだけで労力を使い果たし、本来伝えるべき重要なメッセージが埋もれてしまうのです。
私が何度も目にする、3つのパターン
業界や職位に関係なく、共通して見られるパターンが3つあります。
1つ目は、「主張」ではなく「トピック」で構成してしまうことです。 たとえば財務チームが、PLのすべての項目を順に説明する。 マーケティングチームが、調査から実行までのキャンペーン全体を時系列で紹介する。 チームが知っていることはすべて並んでいますが、何に対しても、だれも主張を組み立てていません。
2つ目は、幅広い聴衆や反論への不安から、情報を詰め込みすぎることです。 この気持ちはよくわかります。ただし逆の結果を生みがちです。 スライドにデータを詰め込むほど、聞き手は「結論」ではなく「証拠の細部」を検証し始めます。その結果、本来伝えたいメッセージが、誰も求めていない情報の中に埋もれてしまうのです。
3つ目、そして前の2つの根本原因となるのが、スライド作成前に聞き手について考えていないことです。 誰がこの場にいるのか。 その人たちは何を気にしているのか。 このプレゼンの後、何をしてもらう必要があるのか。 一見当たり前の問いですが、実際には、白紙のページを開く前に体系的に考えられているケースはほとんどありません。
人材育成やL&Dを担当されている方であれば、これら3つのパターンを組織内で見たことがあるはずです。 ここまで読んだことで、一般的なプレゼンテーション研修ではなかなかプレゼンが改善しない理由に気づかれたかもしれません。問題は自信や話し方ではなく、「作る前の考え方」にあるのです。
「よく考えてから始める」と、何が変わるのか
最近、あるチームが地域統括責任者にマーケティング施策の提案を行う場に立ち会いました。 45分間にわたる、美しく作り込まれたスライドの数々。 しかし、プレゼン終了後、最初に出た質問はこうでした。 「結局、あなたたちは何を提案しているのですか?」 必要な情報は、確かにすべて資料の中にありました。 ただし、その構造が、聞き手に過度な負荷をかけていたのです。
私たちは、内容そのものではなく、その下にある思考の整理のサポートから始めました。
最初に、次の3つの問いから始めました。
- 誰がこのプレゼンを聞いているのか
- その人は何を判断する必要があるのか
- このプレゼンの後、何をしてもらいたいのか
これによって、コア・メッセージが明確になります。 そこから構造を組み立てました。 最初に結論を示し、その下に3つの根拠を置き、それぞれに必要最低限の証拠を添える形です。 詳細情報は、削るのではなく、付録に移し、質問が出たときにすぐ使える形で残しました。新しい資料はページ数が半分になり、提案内容は2枚目のスライドに明確に書かれていました。
これは特別な成功例ではありません。 内容から前に進むのではなく、聞き手から逆算して考えたときに、必ず起きる変化です。
うまくいく人たちが共通して持っている習慣
成果を出し続ける人たちには、いくつかの共通点があります。
- スライドに触る前に、聞き手と「お願い(Ask)」を明確にしている
- 結論を最初に出す(自然な作り方とは逆ですが、多忙なシニア層には最適です)
- スライドを「読むための資料」ではなく、「話を支える視覚的アンカー」として使っている
もし、あなたがいなくても完全に成立する資料であれば、それは「プレゼン資料」ではなく「書類」にすぎません。
どれも難しいことではありません。 ただし、思考とスライド作成を切り分けて練習する機会がなければ、この習慣を身につけるのは意外と難しいのが現実です。
クライアントのニーズから生まれたプレゼン研修
PFCでは、日本およびグローバルで、四半期レビューから戦略提案、部門横断アップデートまで、シニアリーダーへのプレゼンテーションを日常的に行うチームを支援しています。 その中には、第二言語または第三言語として英語で発表している人もいて、構成や率直さ、そして情報の流れ方について異なる期待を持つ聴衆に向けて話しています。
だからこそ、構造そのものが、より多くの役割を担う必要があるのです。
PFCが提供したのは、プレゼンテーション設計に完全に焦点を当てた半日のワークショップでした。立って話し始める前に、そのプレゼンがうまくいくかどうかを決める「考え方」と「構成」を扱ったのです。研修の中で、参加者は実際の自分のプレゼン資料に取り組み、そのまますぐ使える構成を持ち帰ります。半日ではなく1日かけてじっくり学ぶこともできます。さらに、伝え方そのものを磨くデリバリースキルプログラムも用意しました。
この研修に興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

マイケル・グレイザー(Michael Glazer)
ピープルフォーカス・コンサルティング
プリンシパル・コンサルタント
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