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2025.05.05(月) お知らせ

■経験から育つリーダーシップ——“5つの発達段階”で考える人財開発の視点 

私が大学院時代に出会った『リーダーシップの旅』(野田智義・金井壽宏著)という一冊の本。
そこには、こう記されていました——

「リーダーシップとは、生まれ持つ才能ではなく、経験を通じて育つものである」

この言葉は、その後20年にわたる組織開発・人財育成の現場で、何度も実感することになりました。
人はまず「自分を導く力」を育み、次第に「他者」や「チーム」、さらに「組織」、「社会」へと、影響力の対象を広げていきます。ピープルフォーカス・コンサルティングでは、こうしたリーダーシップの発達を、組織の階層や機能的役割と紐づけて、クライアント組織のリーダーシップパイプラインを強化するサービスを提供しています。

1. Lead Self(自分を導く)

一昔前、「船頭多くして舟山に上がる。若手にリーダーシップは必要ない」とクライアントから言われることもありました。しかし、時代は一変して、「不確実性の時代、社員全員がリーダであれ」とメッセージを発する企業がほとんどとなりました。

自分自身を導くセルフリーダーシップ。リーダーシップの最初の一歩として、自分自身を理解し、納得のいくキャリアの方向へと舵を切る力。キャリア自立と言い換えることができるでしょう。「何を大事にしたいのか」「どんな働き方・生き方をしたいのか」を自ら考え、行動に移す内省的なリーダーシップです。

該当する階層・役割:
・新卒〜若手社員(1〜5年目)
・キャリア転機にある個人
・自律型人財育成の起点を求める現場層

必要なスキル:
・自己認知(価値観・強み・弱みの理解)
・キャリアビジョンの構築力
・内省力と自己モチベーション管理

PFCとブランチャード事業部が提供するサービス(例):
セルフ・リーダーシップ研修(ブランチャード事業部)
セルフディスカバリー研修
キャリア・プランニング研修 


2. Lead People(他者と協働する)

次に必要となるのが、他者との信頼関係を築き、協力しながら成果を出す力です。「一人では達成できない」目標に対して、関係性と対話力を駆使し、共創していくのがピープル・リーダーシップ。他者との協働のために、時には人を育てる力も必要になります。

該当する階層・役割:
・中堅社員
・プロジェクトメンバーや後輩を指導する立場にある人財
・自己完結型からチーム協働型へと成長するタイミングの人財

必要なスキル:
・傾聴・フィードバック・対話スキル
・他者理解と感情知性(EQ)
・関係性構築力と信頼形成

PFCとブランチャード事業部が提供するサービス(例):
コーチング研修
アサーティブ・コミュニケーション研修
SLII®(ブランチャード事業部)
MBTI®を用いた自己理解ワークショップ
自己理解ワークショップ~DiSC®を用いて

3. Lead the Team(チームを導く)

次の段階は、チームの目的やビジョンを示し、多様なメンバーを束ねて成果を生み出す力です。このチーム・リーダーシップでは、上司として部下を育成するのみならず(コーチ型)、チームのメンバーの力を引き出すファシリテーター型のリーダーシップスタイルも求められます。

該当する階層・役割:
・プロジェクトリーダー
・ファーストラインマネージャー(課長クラス)
・チーム責任者・現場マネジメント層

必要なスキル:
・チームビルディング・目標設定
・状況に応じたリーダーシップスタイルの切り替え
・チームの成長を支えるコーチングスキル

PFCとブランチャード事業部が提供するサービス(例):
ファシリテーション・スキル研修
チーム・リーダーシップ研修
チーム・リーダーシップ(ブランチャード事業部)

4. Lead the Organization(組織を動かす)

次の段階では、部門や事業の方針を描き、全体を統合しながら成果と人財を育てていく力が必要となってきます。組織を導くリーダーシップは、構想力と仕組み作り、変革の推進、そして次世代のリーダー育成までが求められる領域です。

該当する階層・役割:
・部長・事業部長クラス
・複数チームを束ねるミドルマネジメント
・次期経営層候補

必要なスキル:
・ビジョン策定・戦略思考
・組織設計・制度構築力
・組織文化のマネジメント
・リーダーのリーダーとしての育成力

PFCとブランチャード事業部が提供するサービス(例):
各種戦略ワークショップ
チェンジ・リーダーシップ研修
インクルーシブ・リーダーシップ研修
変革に向けて人々を導く(ブランチャード事業部)

5. Lead the Society(社会を動かす)

社会や業界全体にポジティブな影響を及ぼすリーダーシップは、ソーシャル・リーダーシップと言い換えることができます。とりわけ、事業を使って社会をよりよい方向に変えるリーダーシップに注目が集まっています。

このリーダーシップは、企業トップや事業部トップだけが発揮すべきものではありません。サステナブルな社会への貢献を謳い、パーパスを軸に社会課題の解決を標榜する企業は、自社の事業活動を通じてよりよい社会の実現を牽引するリーダーシップを求めています。社会性の高い事業に携わる社員、あるいは将来携わることを希望するビジネスパーソンはみな、社会を動かすリーダーシップの入り口に立っています。

該当する階層・役割:
・経営者・事業責任者
・社会性の高い事業に携わるプロジェクトリーダー、メンバー
・将来のサステナビリティ経営を担う次世代経営リーダー

必要なスキル:
・社会課題への洞察と事業構想力
・外部ステークホルダーとの共創力
・パーパスドリブンな意思決定と発信力

PFCとブランチャード事業部が提供するサービス(例):
GAIAリーダーの旅【現地渡航】
GAIAリーダーの旅【オンライン】
パーパス・リーダーシップ研修
CSVリーダーシップ研修

リーダーは「経験によって育つ」——だからこそ、経験を設計する

人が育つ会社では一人一人のチャレンジと成長支援の環境があるように、リーダーが育つ会社では、目指すリーダーシップ開発に適した「経験の機会」が必要です。

とりわけ、事業を通じてよりよい社会の実現を牽引するソーシャル・リーダーシップは、社会にとっても自社にとっても新たな挑戦であるがゆえ、リーダーシップ開発の機会も新たに創出せねばなりません。PFCでは、社会を動かす、サステナビリティ経営を牽引するリーダーシップ開発プログラムには、以下の条件が必要だと考えています。
体験型研修
越境型成長機会
自己認知と内省の促進支援

そのために最も適したプログラムのひとつが上に挙げたGAIAリーダープログラムです。
あなたの組織の人財は、いまどの段階にいますか?
そして、彼らが次の段階に進むために、どんな経験を提供できていますか?

「育てたい」から「育つ場をつくる」へ——
この記事が御社の人財開発が一歩進む、そのきっかけになれば幸いです。


山田 奈緒子(やまだなおこ)
ピープルフォーカス・コンサルティング
取締役
グローバルな人事戦略構築の課題に直面する日本企業へのソリューション提案における第一人者。
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