コラム
2023.08.05(土) コラム
ウェビナー・アーカイブ配信「パーパス経営」を絵に描いた餅にするなかれ(その1)~人事はどう貢献しますか?
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日本の経営者の中でバズったキーワード、今年の第一位は間違いなく「パーパス経営」ではないでしょうか。多くの経営者が「自社のパーパス」を明確にし、未来も見据えた「事業の存在意義」を問い直し、「社員自身の存在価値」をもアップデートしようではないか、と社内外に活発に発信しています。
多くの企業のパーパスは社会的な大義や望ましい未来の社会を描き、社員や顧客、サプライヤー、投資家といったステークホルダーの共感を大いに引き出すものばかりです。
経営の主流に躍り出たパーパス
2015年にハーバードビジネスレビューがアーンスト&ヤングと共同で行った経営者474人を対象にした調査では、経営者が「パーパスが経営に与える効果」を高く評価していることが見てとれます。
- パーパスを重視する企業は従業員満足度が高いと思う:89%
- 変革推進活動はパーパスと関連付けると効果的である:84%
- パーパスを重視する企業の方が高品質の製品/サービスを提供している:81%
- パーパスを重視する企業の方が顧客満足度が高い:80%
では、実際にパーパスは、事業活動の軸になっているのでしょうか。
経営活動への落とし込みが今後の課題
これからの企業経営を切り開くカギとして大いに期待されているパーパスですが、実践への取組みが今後の課題です。ハーバードビジネスレビューの調査をさらに見てみましょう。
- 自社の事業戦略はパーパスに基づいている:50%
- 自社の社員はパーパスを明確に理解し、コミットしている:38%
- 自社のビジネスモデルやオペレーションはパーパスに合致している:37%
多くの企業は、今後、パーパスの事業戦略への落とし込み、社員への理解・浸透、ビジネスモデルや仕組への落とし込みに取り組まねばなりません。
このような中で、人事はパーパスの事業への落とし込みにどのように貢献すべきでしょうか?
「パーパス経営」への人事の貢献
SDGsバッジを身に着けて、表面的なサステナブル施策を掲げてやったふりをしている企業が、「SDGsウォッシング」と揶揄されています。パーパスもまた、掲げただけで絵に描いた餅にならないよう、真のパーパス経営実践企業では人事がいち早く、①経営人材育成と②風土醸成に取り組むべきでしょう。
①経営人材育成
タレントマネジメント施策の中で、特に次世代経営リーダーが学ぶべきコンテンツに、CSV(共有価値の創造)は入っているでしょうか。
- 企業に求められる社会的責任の変化とCSV
- 自社のパーパスおよびマテリアリティ(重要課題)の理解
- ステークホルダーとの協働によるエコシステム構築
- イノベーション創出の方法
将来の経営を担うリーダーには、上記の知識を得て、自社を題材に考察する力を養うとともに、新規事業を生み出すために視座を上げる体験をさせる必要があります。
②風土醸成
PFCでは今年に入り、パーパス浸透のご相談が増えました。「SDGs」「サステナビリティ」といったバズワードの表層的な理解にとどまらず、社員に自社のパーパスを自分の言葉で語れるようになってほしい、というのが人事の皆様の願いです。eラーニングによる個人学習だけでは実現できない、風土醸成のための取組の設計が必要になります。
例えば、オンライン・コンテンツによる全社啓蒙→管理職教育→職場での話し合い(管理職によるファシリテーション)といったように、個人学習から組織学習へ、リーダーの行動変容へといざなう活動の設計が必要です。また、職場での取り組みを人事が側面支援し、社員という重要なステークホルダーに対してパーパス実践のロールモデル行動を示すことが重要です。
PFCではパーパス実践のためのプログラムやサービスを拡充しています。パーパス浸透/風土醸成の設計および実行支援も行っています。