コラム
2023.02.24(金) コラム
「パーパスを絵に描いた餅にするなかれ(その3)個人と企業のパーパスをつなげる」
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パーパスの内容が腹落ちしている社員は4割以下
多くの企業がパーパスの制定や見直し、実践等に取り組む中、社員への浸透に苦労している様子をよく見かけます。実際、自社のパーパスについて「内容を理解している」人が53.6%いる一方、「内容が腹落ちし、共感している」人は37.7%に過ぎないという調査結果もあります。<出所:パーパス経営の未来図、“自分ごと化”できる組織へ | CCL. | 日経BPコンサルティング (nikkeibp.co.jp)>
では、どうしたらこの数字を上げることができるのでしょうか?
必要なのは、社員ひとりひとりが「企業のパーパス」と「自身のパーパス」のつながりを見出し、「企業のパーパス」を自分事化することです。社員に対して、ただ自社のパーパスを説明するだけでは限界があります。御社ではパーパスが、会社から一方的に与えられ、押し付けられるものになっていないでしょうか。企業のパーパスは、社員ひとりひとりにとっても大切なもの、共感できるものであるべきです。そのためには、まず社員自身が個人として大切にしているもの、価値観やパーパスを明確にする必要があります。その上で、「企業のパーパス」と「自身のパーパス」の重なるところやつながりを見出すことで、社員が「企業のパーパス」に共感し、自分事化することができるようになるのです。
エンゲージメントの観点からも、自身のパーパスと企業のパーパスの両方が明確になっている人ほど、コミットメントやエンゲージメントが高まることが明らかになっています。
個人のパーパスを明確にする方法
では、個人のパーパスを明確にするにはどうしたらよいのでしょうか。
必要なのは各人が以下の三つを明らかにすることです。
- 本当に大切にしたいことは何か(自分の価値観)
- 活かせる強みは何か(強み)
- 自分が貢献できることは何か(自社や社会への貢献)
既にこれらが明確で自分のパーパスが認識できている人もいるかもしれませんが、少数派でしょう。PFCは下記のような方法を用いて、多くの皆さんのパーパスの明確化を支援してきました。
- ハイポイント・インタビュー:過去の経験から自身の興味・関心や強みを振り返る
- バリューカード:現在の自身にとって大切なもの、価値観につながるキーワードを選ぶ
- 志を確認する質問:14の質問を用いて、今後の志を明確にする
ある外資系企業では、選抜された次世代リーダーの方々に対して、2日間×4回、約4か月をかけて自身のパーパスを徹底的に深堀りする研修を行いました。
受講された方からは「自分の隠された宝を発見できた」「今の仕事の見方が変わり、チャレンジを楽しみたいと思うようになった」等の声が聞かれ、多くの方が自身のパーパスを明確に言語化し、それを根幹とした今後のリーダーシップの発揮について自信をもって語れるようになりました。
「社員がパーパスを持つなんて驚いた」
また、社員全員へのパーパス浸透を図る別の日系企業では、まずは管理職層から取り組みを始めました。そこで聞かれたのは「社員の側がパーパスを持つなんて、最初は驚きました」という声でした。これまで日系企業の管理職の多くは会社からの期待に応えることがすべてで、自身のパーパスを問われるようなことはほとんどなく、考える機会もなかったのでしょう。パーパスの浸透にあたっては、まず管理職がその必要性と意義を体感することで、社員のパーパス実現を支援することが欠かせません。
皆さんの会社ではどのような状況でしょうか。 PFCでは個人のパーパスを明確化するための「パーパス・リーダーシップ」研修をご提供しております。4月18日には本記事の内容をより詳しくご説明する無料のオンライン説明会も行いますので、是非ご参加ください。
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