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2024.02.28(水) お知らせ

■ 「ビジネスを通じてカンボジアのために何ができるか」参加者が見つけた答えは?2023GAIAリーダープログラム成果発表会レポート

GAIAリーダーの旅2024では現地訪問が復活!

GAIAリーダー・プログラム:フェーズ3 成果発表会レポート

2023年9月に始まったGAIA(旧GIA)リーダー・プログラム。今年で14年目となる本プログラムは、大手企業や非営利団体(NPO/NGO)から派遣された次世代リーダーの皆さんを中心に、参加者は累積100名を超えています。※GAIAリーダー・プログラムは新興国での“越境”体験学習を軸にしたリーダー育成プログラムです。(詳細は末尾をご覧ください)。

フェーズ3  8か月の集大成となる成果発表会

2024年2月9日にオンラインで開催されたフェーズ3・成果発表会は、8か月にわたるGAIAリーダーの学びと実践の集大成でした。フェーズを通して伴走してきたカンボジア現地パートナーのSALASUSU青木氏をフィードバッカーに迎え、派遣元企業の上司や人事の皆様にもオブザーブ頂きました。

フェーズ1でGAIAリーダーの土台を学び先達からのお話に刺激を受け、11月からのフェーズ2では「貧困削減」と「産業人材育成」のチームに分かれ、現地インタビューや対話を重ねて具体的な解決策を模索。カンボジアの社会課題に対して、SALASUSUのカンボジア人メンバーや他社の受講者と協働しながら、ビジネスを通じた解決案を形にしました。

試行錯誤を重ねた「越境学習」ならではの成果

成果発表までの道は山あり谷あり。言語の壁や文化、価値観の違い、オンラインでのコミュニケーションの難しさなど、多くの課題に直面しながら、各チームで試行錯誤を重ねてきました。「ビジネスを通じてこの国のために何ができるか」というプログラムを一気通貫した問い。これに対して、「ビジネス」として利益が出るのか、持続可能なのか、サステナブルにするために対価を誰からもらうか、など具体的に掘り下げる旅となりました。

各々の「答え」を出すプロセスからも多くの学びを得ることができました。考えるプロセスで出てきた悩みは、社会課題を解決し「ビジネス」として実践していく際に誰しもが通る「産みの苦しみ」。1月の途中経過の集中セッションではそれぞれのチームが解決策を共有し、互いに得たフィードバックを持ち帰り、さらにチームで解決策をブラッシュアップして、発表会にのぞみました。

相乗効果が生まれたチーム発表

各チームの成果発表では、受講者やカンボジアメンバーそれぞれの強みや視点を活かした相乗効果が生まれたものとなっていました。各チームが取り組んだ社会課題とソリューションは以下の通りです。

◎「伝統産業」に着目した産業人材育成チーム

最初に発表した「産業人材育成」チームは、「ゴールデンシルク」の伝統産業に着目しました。この産業人材の育成における課題は、ビジネスとマーケティングのスキルを持った人材不足、不十分な流通経路、地方の経済格差による雇用の困難さでした。これらを解決するために、ビジネスとマーケティングのスキル向上、流通経路の改善、及び地元のシルク生産者の支援に焦点を当てた解決策が発表されました。

解決策は地元生産者と国内外市場を結ぶブランド企業の設立と、生産能力拡大を通じて環境の持続可能性に貢献する事業計画。このアプローチにより、伝統的なシルク産業の持続可能性を高め、産業を支える人材育成することで地元経済を強化し、文化遺産を守ることにつながるという内容でした。

当初は「産業人材育成」という壮大なテーマの中で、どこからどの業界に手を付けていいのか悩んでいた時期もあったようですが、フェーズ1で学んだシステム思考のループ図などのツールを活用し、インタビューからもヒントを得たそうです。

青木氏からは、さらに消費者のニーズ、品質、価格などより具体的に検討するとよいのではというアドバイスや、カンボジアならではの「伝統産業」やブランディングに着目した点へのフィードバックを頂きました。

◎「複利」の仕組みとライフスキルを掛け合わせた貧困削減チーム

「貧困削減チーム」では、特に教育へのアクセスが限られている課題に焦点を当て、その解決策として、家計管理や複利を活用した貯蓄奨励と、ライフスキル教育を組み合わせた発表がありました。

内容は、退学リスクの高い子どもたちに教育機会を提供し、貧困の悪循環を断ち切り、経済的に自立し社会的に活躍できるよう支援する仕組みづくりを行うというもの。今回メンバーの中に金融業界やNGOで働くメンバーもいたため、「複利」という仕組みの発想とライフスキル教育のアイデアを組み合わせたものでした。子どもたちが将来的に貧困から脱出し、自分たちの家族やコミュニティをサポートできるようにすることがこのソリューションの核となっています。カンボジア人メンバーからの現地の人ならではのインプットも非常に有益だったようで、カンボジアでは家族に価値観を置いているという点を活かしたものにしたいという想いも生まれたようです。

青木氏からは、プロジェクトを通じていくつかのオプションを検討したプロセスを経て、それぞれのバックグラウンドや専門分野を活かしてこのプランに行きついた点を評価いただきました。一方で、教育が重要な反面、目の前の生活のお金が必要な貧困層やステークホルダーから銀行が長期的にどうやって利益を得ていくのかをさらに考えてみる必要がある等のアドバイスもありました。

GAIAリーダーとしての学びや成長

チーム発表の後には、各人がプログラムを通じて認識した自社事業の可能性や今後の展望、自身のリーダーとしての成長や変化、および今後の自身への示唆を語りました。

午前中の振り返りセッションも含め、個人発表での受講者の個人の学びや気づきからいくつかご紹介しましょう。

・国ごとの小さな変化が、グローバルな変化につながる。自分や周囲の小さな変化が、積み重なって自社にもイノベーションをもたらすと感じた。研修を通じて GAIAの「Authentic」の部分で自分の価値観、動機づけとなる自分の「火種」に気づいたことで、部下の価値観や源泉もより考えるようになったので、心理的安全がある雰囲気を職場でも創っていきたい。

Day 2の異文化セッションから学んだ「違いは間違いではない」が印象的。カンボジア人の強みは何かと考えることが発想のブレイクスルーにつながった。新興国だから、こちらの価値観を押し付けるのではなく、「違い」として受け止めることが重要だと気づいた。

寄付も大変だと思っていたが、 Day 1のCSRとCSVの違いの話で「寄付は簡単」と言われた時が一番衝撃的だった。 寄付だけでなく、ビジネスを通じての社会貢献は簡単ではないが、持続可能性につながる可能性を感じた。最初は頭では理解していたか、プログラムでの実践を通じて、「自社のビジネスを通じて」持続可能な社会貢献になるということが重要であることを腹落ちした。協働プロジェクトではこのフレーズをベースに考えられるようになり、価値観が揺さぶられた。

「グローバルはローカルの積み重ね」といっていた講演者の言葉が印象的だった。長い間マネージャーをしていたが、自分は「リーダー」ではなかったのかもしれないと感じた。

協働プロジェクトに参加したカンボジア人の皆さんも、「日本についてたくさん学べた」「日本人リーダーとの協働プロジェクトで多様な視点を持ったチームメンバー達と協働できたことが学びになり、カンボジアにいても気づけなかった課題に気づけた」、「日本のメンバーの考えから刺激を受けて自身の成長につながる経験ができた」と語ってくれました。

GAIAリーダーの旅はまだ始まったばかり

発表会の最後に行われた全体の振り返りでは「心理的安全」という言葉が受講者から多く挙げられました。このGAIAプログラムでは、ファシリテーティブな進行のもと、このチームなら何でもオープンに話せると感じ、利害関係がないフラットな状態で話すことができ、組織を超えて社会課題に取り組む「同志」としてつながりができ、越境学習の醍醐味も感じて頂けたようです。

このプログラムの期間中は終始、自分のどのような考えや気づきを話してもよい、という安心感があったので、ここではじめて心理的安全性という言葉の意味を実感できた

といったことを共有してくれた受講者の方も。

また、マネージャーとして経験豊富な方や、多くの部下を抱える受講者の方も、この研修に参加している期間にリーダーとしての自身の在り方について、立ち止まり、改めて見直す機会になったようです。他者の視点から多くの刺激を受けて自分らしいリーダーシップの自己探求の旅となったという声も聞かれました。

最後に、プログラムの全体統括であるPFC代表取締役の松村からの「本当にこの人たちのために、もしくはその社会課題を何とかしようとするパッションやモチベーションの源泉、パーパスに気づくこと」や「実際に自社や職場でビジネスを通じた社会課題解決を実践するときに何を考えるべきか、クリアすべき課題は何か、など自分の中に問いが浮かぶことや実感すること」が重要である、との言葉でプログラムは締めくくられました。

受講者の皆さんのコメントからご覧いただけるように、GAIAプログラムが元々狙いとしている「社会課題に意識を向け、事業を通じてのソリューションを考え抜く」という次世代リーダーに必要な基本的な考え方や「G・A・I・A」の要素は、参加者の皆さんにしっかりと根付いたようです。

GAIAリーダーの旅 Online 2023 for Future Executives(次世代経営幹部候補向けGAIA)プログラムは、これで一区切りとなりましたが、受講者の皆さんのGAIAリーダーとしての学びや実践はまだ始まったばかりです。職場に戻ってからが、まさに実践の本番。今回のプログラムで得た気づきや学びを糧に、職場でのリーダーシップ発揮に活かし、ビジネスを通じた社会課題の解決に取り組み続けていただくことを願っています。

2024年はいよいよ現地訪問が復活!

過去3年間のGAIAプログラムは、新型コロナウイルスの影響で現地訪問が叶わず、オンラインでの開催でしたが、現地訪問を渇望する声も高く、2024年度のGAIAリーダーの旅では、フェーズ2でのカンボジアへの現地訪問が復活します。

実際にカンボジアに赴き、ビジネスを通じた社会課題解決の実践者や有識者と直接対話し、現地の人々と交流し、自分の目で現地の状況を見て、現地の風を感じて、学ぶ旅。これからの持続可能な社会を目指してグローバルに活躍し、新しい時代のビジネスをリードする「次世代リーダー」を育成したい企業の皆さまは、ぜひこの機会に参加者の派遣をご検討ください。2024年度の参加者の募集も始まっています。概要はこちらからご覧いただけます。

また、GAIAをまずはもっとよく知りたいという方や、2024年度に向けて導入をご検討されている担当者の方は、PFCのコーディネータ/コンサルタント、もしくはgaia@peoplefocus.co.jpまでお気軽に直接お問い合わせください。

※以下に、過去の参加者の方の声を動画にまとめています。是非ご覧ください!