コラム

2025.02.26(水) コラム

DEIサミット2025 -GCNJコレクティブアクション2030- 参加報告

こんにちは、サステナビリティ事業推進室長の千葉達也です。2025年1月28日(火)、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下、GCNJ)が、「DEIサミット2025 ~Social Change by Equity~」を開催しました。

GCNJは、健全なグローバル社会を築くことを目的とした国連グローバル・コンパクトの日本におけるカントリー・ネットワークです。日本の会員企業・団体のGC10原則、SDGsなどへの自発的戦略的行動をサポートし、セミナーの開催、会員企業が主体となる分科会などサステナブルな社会の実現にむけて活動しています。

PFCも2019年からGCNJに加盟しており、今回のDEIサミットにおいても何か貢献できるアクションがないかと考え、オブザーバーとして参加したので以下に概要をレポートします。

■イベントの概要

オープニングセッション

GCNJの代表理事である有馬利男氏の挨拶からイベントはスタートしました。有馬氏は、UNGC全体のミッションを説明した上で、GCNJで特に注力する公平な働き方の重要性と社会全体のWell-being向上を目指すGCNJのビジョンについて語られました。

第1部:講演と取り組み発表

続いて、第1部では株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵氏が「多様な人材を活かす経営戦略」をテーマに講演をされました。

  • ワーク・ライフバランスの重要性

講演では、冒頭に小室氏自身の実体験を交えながら、ワーク・ライフバランスを重視し、全従業員が協力し合う組織を目指すことの重要性について語られました。また、日本は他国と比較し長時間労働が多く生産性が低い、というデータも示され、これを改善するためには、男女ともに短時間で働き、異なる条件の人材を受け入れる仕組みづくりがすぐにでも必要ではないか、と投げかけがされました。

  • 環境変化による経営戦略の変化

このように重要性を語ってもなかなか「今までの在り方ではなぜダメなのか」と言って変化しようとしない人もいます。それに対し、経済発展のルールは時代によって異なり、今は環境の変化に伴いルールが変わっていることを認識していないことが原因、との指摘がありました。人口ボーナス期には、男性のみが働き、長時間労働を行い、なるべく同じ条件の人を揃えることが経済発展に寄与しました。しかし、現在の労働人口の減少が進む人口オーナス期では、男女問わず多様な人材が、短時間で生産性高く仕事を進める工夫が求められます。そして、生産性を高めるためには睡眠時間を確保することも重要ではないか、との問題提起もありました。

  • 男性育児休暇の活用

さらに、働き方の中でも特に男性の育児休暇取得の必要性について踏み込んだ説明がされました。子育て世帯において2歳までの離婚が一番多いこと、また女性の産後うつによる自殺が問題となっている調査結果を基に、男性が育児に協力することが不可欠である、ということです。現在の労働力と未来の労働力を実現するためには、男性の育休取得が重要であり、2022年からは育児休業に関する研修の実施が義務づけられています。

第2部:ディスカッションと宣言書署名

第2部では、GCNJ理事である本島なおみ氏の司会進行のもと、賛同企業17社を中心に取り組み事例の紹介や課題についてのディスカッションが行われました。ディスカッションでは、テレワークを推進する一方でチームの一体感を醸成する難しさなど、共通の課題が見えてきて、それぞれの企業がどのような工夫をしているのか、活発な意見交換がなされました。同日、17社を含め計24社が宣言書に署名し、公平な働き方の実現に向けた各社の具体的なコミットメントが紹介されました。

賛同表明企業(五十音順)
アスクル株式会社/ANAホールディングス株式会社/株式会社NTTデータグループ/MS&ADインシュアランスグループ ホールディングス株式会社/キッコーマン株式会社/株式会社クレアン/株式会社サンゲツ/株式会社JTB/住友林業株式会社/積水ハウス株式会社/ソフトバンク株式会社/株式会社大和証券グループ本社/株式会社東芝/BIPROGY株式会社/株式会社ポーラ・オルビスホールディングス/三井住友トラストグループ株式会社/株式会社明電舎(以上17社、サミット出席企業)

株式会社セブン&アイ・ホールディングス/太陽化学株式会社/株式会社電通/日本郵船株式会社/マブチモーター株式会社/三菱ケミカルグループ株式会社/株式会社りそなホールディングス

■まとめ

日本における大企業が数多く参加したDEIサミット2025は、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けた重要な一歩だと感じました。ここ数年、アメリカではDEI推進な動きに対する揺り戻しが生じており、ドナルド・トランプ氏がその流れを加速させています。しかし、これはDEI推進の大きな流れの中で一時的に調整の必要がなされているだけであり、中長期的に見た時には、今後も世界でDEIの取り組みは進んでいくと私は考えます。

日本での労働人口が減少する中で、多様な人材が活躍できる社会を実現出来なければ持続可能な社会も望めません。PFCでは女性活用はもちろんのこと、外国人人材など多様な人材を活用することを目指す企業・組織のDEI推進をさまざまなサービスやプログラムで支援してきましたが、今後ますますこれらの取り組みに力を入れていきたいと思いました。

<PFCの支援サービス例>
ダイバーシティの実現に欠かせないインクルーシブ・リーダーシップ
アンコンシャス・バイアス研修~無意識の偏見を知り職場環境を改善
その他各種リーダー研修・ファシリテーション研修等|PFC


千葉 達也(ちば たつや)
株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング 
サステナビリティ事業推進室長